ここ数年、大学入試の際に「数学」を必要としない学部・学科が、文系を中心に増えてきています。 “数学を勉強しなくてこの大学の学部・学科へ行けるなんてラッキー!” …ほんとにそうでしょうか? 一部の大学で「やっぱり文系でも数学必須にして優秀な人間を確保したい!」という動きが出ていることもあわせ、ちょっと考えてみてください。
◆本投稿記事は、毎日更新中のZ会ブログ
http://www.zkaiblog.com/histaff/
の話題を元に、本サイトの読者層に合わせた形で修正しております。
J-CASTニュースの記事として紹介され、Yahoo!などにもリンクがはられたため、結構話題になった記事があります。
「数学不要にした私立大の入試 これが日本の教育歪める最大原因」
http://www.j-cast.com/2009/05/09040726.html
激しく共感します。
僕の今までの経歴や立場では…
・元々数学担当だったため、「数学に思い入れがあるからそんなこというんでしょ」といわれたり
・大学側ともいろいろお付き合いがあり、大学側が人集めに大変苦労しているため、心情的になかなかいえなかったり(「安易に」数学不要にしている学部学科もありますが、必死の思いで大学価値向上の戦略を考えた結果として数学不要と結論した学部学科もあるんですよね…)。
・Z会での数学の成績がものすごく悪くても司法試験や国家一種試験に通ったZ会OB・OGの実例を存じ上げていたり
などが絡んでいて、自らの口からなかなか言いにくいことなんですが、本記事をキカッケに申し上げると…
全体的に俯瞰すると、「数学不要」とする大学が増えることが、該当世代の学力低下に拍車をかけたり、高等教育(大学での教育)に支障を与えている
と感じます。
数学の公式を覚えることそのものが大事なのではなく、(公式を)覚える過程で身につく思考力・発想力・論理力を捨て去ると、既存の「法」から実例に下ろしロジカルに考える力や、経営の戦略設計、教育における相手の心理描写の理解、商学におけるマーケティングセンス…など、いわゆる「文系学部学科」に進学しても必要な能力が欠けると感じます。
「大学に入ってから(上記のことを)学べばいいじゃん」なんて思っている方もいらっしゃるでしょうが…それは甘いんです。
大学教授からすると、上記のことは「基礎として身についている」という思いで授業に入りたいわけですから、高校までの授業のように「教える」ようなことはしません。あくまで「学ぶためのヒント」を与えてくれるだけで。
一方、
「そこまで数学の勉強したくないもん。数学の勉強をするより、入りたい大学・学部・学科の「ハク」がほしいから、数学不要学科で就職のいいところあればいいじゃん」
と考える方もいらっしゃるかもしれません。
将来的にも(こんなコムズカシイ公式を覚えなければいけない)数学なんて必要ないよーという気持ちもあるでしょうね、きっと。
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