日本コカ・コーラが「おいしい+環境にいい」ミネラルウォーターを発売した。果たして、市場はどう反応するのか。
と、ここまで考えると、さらにキケンな香りがしてくる。
明言しなくても、国産でなにげに安さを醸しだし、エコをアピールする「い・ろ・は・す」。
しかし、もう一歩進めて考えれば、「そもそも、ペットボトルのミネラルウォーターを飲まなきゃ、一番お金かからないし、一番エコなんじゃね?」と気付いてしまうからだ。
事実、浄水ポットが売れている。
<浄水器市場で伸びる「ポット型」 健康、エコ、経済性の三拍子揃う>
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090416/192103/?P=1
ポット型の「ブリタ」をはじめ、オフィスで使うタンブラー型などが売れ行き好調だという。ブリタは売上げ2割増だ。経済効果も高い。<ブリタの場合、フィルター1個で約200リットルの濾過が可能>なので、<1リットル当たりに換算すると、約7円>。ペットボトルと格段の差だ。
エコについても、経済産業省3R政策はずいぶんと認知が広がり定着化を見せているといえるだろう。Reduce (削減)、Reuse(再使用)、Recycle(再資源化)。ペットボトルの使用機会を減らすことが一番エコなのだ。
水を飲むということは人間全てに当てはまる。そのうち、「水の味や安全性を気にする・気にしない」というセグメントができる。その気にするセグメントも、「浄水する手間を面倒に思う・面倒に思わない」というセグメントができる。さて、このセグメントは、不景気とエコロジーの高まりという環境の変化でどう動くかだ。
国内産で、エコなペット容器、価格も安め。「い・ろ・は・す」は時代に適合した鋭いポジショニングを取っているといえる。現在の日本のミネラルウォーター市場で最も有利なポジションだ。
しかし、もう一歩、環境変化によって生活者の意識が変われば、「い・ろ・は・す」とてキケンな状況になるかもしれない。成長鈍化が顕著な市場にあまり明るさは見られないようだ。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。