パソコンメーカー各社から「夏モデル」の発表が相次いでいる。注目は小型低価格の「ネットブック」と呼ばれるカテゴリーだろう。各社の戦略とその覚悟はいかなるものだろう。
各社の価格は東芝「dynabook」、富士通「FMV-BIBLO」ともに6万円台だという。シャープ「Mebius」は後述するが、野心的な付加機能で8万円前後。いずれにしても、海外メーカーのネットブックに対しては、質を上げ、ブランドネームも付加して高く売る戦略だ。
その中で、最も野心的なのが「Mebius」。<タッチパッド部分に同社独自デバイスである「光センサー液晶」を搭載した>という。<タッチパッド部分にさまざまな情報や画像を表示できるほか、タッチ操作や手書き文字入力ができる>という今までにない新機能で勝負をかけている。
想定している使用方法は<メールに手書きイラストを添付したり、写真にコメントを付けたりできる>というものや、指を動かして操作するボーリングやピアノのゲームだというが、本命は<手書き文字入力を使った辞書検索機能>だろう。つまり、ネットブックで電子辞書の手書き検索機能や学習ソフトと同等の機能を担おうというのだ。
ネットブックでブラウジングやメール、その他PCのソフトを使い、電子辞書としても使える。1台で2度オイシイ。そんなポジショニングを狙っているのではないだろうか。
シャープは電子辞書に関してはシェアはカシオに負けていて第2位だ。カテゴリーをまたいだ自社内カニバリよりも、カシオの電子辞書シェア奪取もこのネットブックで視野に入れているのではないだろうか。シャープにとっても1台で2度オイシイ。
夏モデルの主戦場はネットブックと思って間違いない。付加価値を競う日本メーカー各社の戦い。価格が安い海外メーカーとの戦い。既存のメインブランドへの影響。それらがどうなるかはまだわからない。当面目が離せない展開であることは間違いない。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。