4月1日付で純粋持ち株会社に移行するサントリーは、新設する傘下の「サントリー食品」で飲料業界の勢力図を塗り替えるような戦略を展開するようだ。
FujiSankei Business iの記事で重要な箇所がある。<自販機数で劣るサントリーは巻き返しに向け、各分野ごとの“局地戦”で日本コカ・コーラを追撃し、それぞれの飲料ジャンルごとで首位商品を増やす戦略だ>。
リーダーの戦略の基本は「全方位戦略」である。規模と体力に優れたがリーダーは、あらゆる打ち手を講じてくる。チャレンジャーの戦略には同様の打ち手をかぶせる「同質化」によって、その動きを封じようとする。それに対して、チャレンジャーはかぶされても、とにかくまた別のポイントを突いて「差別化」を徹底して行うのが基本である。
差別化において重要なのは、「集中戦略」をとることだ。全方位で戦えないのであれば、勝てるところを探して、勝てるところからリーダーのパイを切り取っていく。「選択と集中」という言葉は経営者が好む言葉ではあるが、選択はできても、絞り込んで集中することが以外とできていないケースが散見される。
サントリーはまずは、ゼロカロリータイプのコーラ市場に集中する選択をした。戦い方は販路改造ではなく、広告攻勢をかけるという戦い方に絞り込んでチャレンジしているのだ。
記事中の局地戦とは「セグメント戦略」を意味しているため、ターゲットの年代のどこに集中するかや、地域的にどこを強化するかなど、さらに細かいセグメントで「勝てるところで勝つ」ことを徹底すると思われる。
例えば、広告では都内山手線でアドトレインが投入されていたが、都市部にまず、集中しているのかもしれない。
いずれにせよ、今後サントリーの飲料市場での動きは、チャレンジャーのお手本となる戦い方が予想される。ゼロカロリータイプのコーラ市場の戦いの後には、<各分野ごとの“局地戦”>として、他商品でも戦端が開かれるのは確実だ。しばらくは目が離せない。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。