どうなる?カップヌードルの「肉」変更

2009.03.28

営業・マーケティング

どうなる?カップヌードルの「肉」変更

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

「品質改悪ではないか?」との声までがネットでわき起こっているという、日清・カップヌードル。具材を強化し、肉を「ジューシーな角切りチャーシュー」に変更するという同社からの発表を受け、根強いファンたちの間では異を唱える声も大きい。なぜ、そのようなことが起こっているのだろうか。

定番商品に対し企業が仕様変更という決断をした結果、消費者がそっぽを向く現象では有名な事例がある。コカ・コーラだ。
コカ・コーラ「カンザス計画」とも呼ばれるこの製品仕様変更の顛末はウィキペディアの記述(リンク)に詳しい。

1975年、米国ペプシコ社の天才マーケター、ジョン・スカーリー(後のアップルコンピュータCEO)は、徹底した飲み比べキャンペーンである「ペプシチャレンジ」を仕掛け「ペプシの味の良さ」をアピールし大きく売上げを伸ばすことに成功した。
追われる不安から、コカ・コーラは製品の味を根本的に変えるという戦略に打って出た。新しい味は、コカ・コーラ発売100年の直前である1985年4月24日に「ニュー・コーク」として市場に投入された。しかし、<ニューコークは消費者の不評を買い、コカ・コーラには抗議の手紙や電話が殺到する事態に。7月10日に至って、元のコカ・コーラをコカ・コーラ・クラシックとして再び販売せざるを得なくなっていった>という。

「知覚品質(Perceived Quality)」という言葉がある。
知覚品質とは、消費者が商品・サービスを購入するにあたって感じる品質のことであり、
商品の機能や性能などの物理的属性に加え、信頼性や雰囲気などの主観的な要素も加味して判断されるものだ。それ故に、企業が何らかの機能や性能を高めたり、原材料を変更したりと物理的な品質、(工場品質とも呼ばれる)を高めても、消費者にとって意味のあることでなければ、知覚品質が高まったとことにはならないのだ。

今回の製品改定を再度マーケティング・マネジメントにおける4Pと、さらに遡ってターゲティング・ポジショニングで検証してみよう。

・Product(製品):まさに今回の中心であり、仕様を具材の「肉」の品質向上という改定をしたわけだ。
・Price(価格):原材料費低下の中で、値下げという選択肢もある中、あえて値段はそのまま。その代わりに品質向上という消費者還元策で整合を図った。値下げもせず、仕様もそのままという状態よりは、基で考えれば整合しているとはいえる。
・Place(販路):変更は特にない。
・Promotion(広告):ニュースリリースによれば、<「カップヌードル」のCMキャラクターである木村拓哉さんが「コロ・チャー」の登場感を最大限に訴求する魅力的なCMを展開します>とある。タレントに消費者の知覚品質を代弁させようというアプローチであるが、共感が得られるかがポイントとなるだろう。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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