わずか3年で約100店を新規出店。23区内「どこへでも」配達を実現するためにカクヤスが採った拡大戦略だ。しかし、結果はぼろぼろ。全店の半数以上が赤字となった。崖から転げ落ちかけた同社を救ったのが、Amazon、アスクルに並ぶ『カクヤス・モデル』である。
「酒だけを扱っているなら、無理でしょうね。商圏が1.2キロではまず採算が合いませんから。でも、他の商材も扱えるとなったら、どうなんでしょう」
はっきりとした答えはまだないようだ。しかし、いつの日か全国『どこへでも』をやってのけるのではないか、そんな可能性をカクヤスモデルは間違いなく秘めている。
~特集インタビュー
「カクヤス、業務用酒販店ナンバーワンへの奇跡の道のり」完~
『株式会社カクヤス 関連リンク』
・株式会社カクヤス ホームページ
http://www.kakuyasu.co.jp/
【Insight's Insight】
顧客のためのバリアフリー戦略
免許制度でがっちりと守られてきた業界を襲う規制緩和の荒波。さらには少子化の影響をモロに受けたマーケット全体の縮小。酒販業界が象徴的に示しているのは、その後日本全体を包み込むパラダイムシフトである。
チェーン展開しているとはいえ普通の小売店レベルではただただ翻弄されるしかない大波の中に、だからこそ佐藤社長はチャンスを見いだした。「僕は本当に運がよかったんですよ」と謙遜されるが、ただ幸運が転がり込んでくるのを待っていただけでは決してない。
何より取組んだのが顧客のための徹底したバリアフリー『いつでも・どこへでも・どだれけでも』。その実現のために、できることをすべてやる。酒販免許制度を逆手に取った見事な出店戦略、さらにはアナリストがAmazon、アスクルと並ぶ画期的な宅配モデルと賞賛する『カクヤスモデル』は決して偶然の産物ではないのだ。
それはカンダタが地獄ですがったような細い蜘蛛の糸だったのかもしれない。しかし、佐藤社長はその糸にすがりながらも、かすかな糸を決して切られることなく、最後まで登りきる術を知っていたのだろう。客商売は「お客様のことだけ考えてなんぼ」。この真理を掴んでいるからこそ成長を続ける『カクヤスモデル』は今後、どこまで伸びるだろうか。
◇インタビュー:竹林篤実/松尾順/坂口健治 ◇構成:竹林篤実
◇フォトグラファー:大鶴剛志 ◇撮影協力:㈱オンボード
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FMO第20弾【株式会社カクヤス】
2009.02.24
2009.02.17
2009.02.10
2009.02.03