<「2009年はデジカメ革新の年にしたい」と強調する>というカシオ計算機株式会社の樫尾社長のコメントが、日経新聞13日朝刊・企業欄の「人こと」コラムに掲載された。
もう一つは、<動画と静止画の合成や超スローモーション動画>というように、「動画技術」の部分に踏み込めば踏み込むほど、「デジタルカメラ」という製品カテゴリから、「デジタルビデオカメラ」との競合を覚悟することにもなる。動画を撮ることにおいては専門領域であるプレイヤーにさえ、独自の機能性で戦いを挑もうというのだ。
新たな機能を提案し、領域を超えた戦いを展開しようというカシオの戦略。そこでもう一つ重要なものが、「ターゲティング」ではないだろうか。USPがUSPとして成立するには、そのユニークさを認めてくれる顧客(顧客層)が存在するということが欠かせない。そうでなければ、「売る側の思いつき」として忘却の彼方に追いやられることになる。
シーズ志向で開発された商品は、当初はそれをどのように評価し、どのように使いこなしてくれる顧客がいるのかということが見えにくい。もちろん、上市(発売)前には何度も顧客インタビューや調査が行われたであろうが、それでもまだ、完全ではないだろう。
当初設定したターゲットや、市場に向けて提案した使い方以外で大ヒットした商品もある。カシオの戦略においては、市場からの「顧客の声」を吸い上げる取り組みがまさに欠かせないといえるのだ。
「その技術・商品を受け入れた顧客は誰なのか?」・・・「ターゲティング」
「そのターゲットに商品をどのような存在(使い途も含め)として認知させればいいのか?」・・・「ポジショニング」
「どのように製品改良を重ねればいいのか?」・・・「製品戦略(Product)」
「どのような訴求方法なら魅力が伝わるのか?」・・・「コミュニケーション戦略(Promotion)」
「未踏の地を目指し強敵と戦う覚悟」。その経営者の卓然たる決断を成功に導くのは、技術力だけではない。最後はやはり「顧客」に立ち戻って、マーケティングプロセスを進めることが求められるのだ。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。