昨年1月11日アップした記事が『Wiiは何が違うのか』。あれから約1年、Wiiの新しい展開が見えてきた。岩田社長自らが日経のインタビューで答えている通り「利用者を笑顔にするものはすべてゲーム」という定義が、Wiiの正体を示している。
「娯楽や生活情報番組、健康、教育関連など家族が一緒に楽しめるオリジナルコンテンツを主軸にする方針だ(日経産業新聞2008年12月26日付20面)」。本気なのだ。そのためにパートナーとして電通を選んだ。ということは収益モデルもしっかり考えられているわけで、そこでポイントとなるのが『Wiiの間』である。
お母さんを狙う『Wiiの間チャンネル』
狙いはお母さんである。「Wiiの利用者は半数以上が女性(前掲紙)」なのだ。言うまでもなく家庭の財布を握っているのが、お母さんである。そのお母さんにアプローチできるメディア、それが『Wiiの間チャンネル』である。メディアとしての価値は非常に高い。
しかも根っこはテレビ=放送ではなく、ネット=通信である。放送と通信の決定的な違いは双方向性。これを活かせば(電通が絡んでいる最大の理由はここだと思うけれど)いろんな仕掛けができる。いずれ地デジになればテレビでもできるだろうことを、Wiiなら使い慣れたリモコンと見慣れた画面で簡単にできてしまう。
そのタイミング地デジへの移行が本格化するギリギリ前のタイミング、それが今年の春なのだ。
そして出前注文もWiiで
この春から始まるのは『Wiiの間チャンネル』だけじゃない。Wiiで遊んだり、映像を楽しんだりしていると「じゃあ、今日は出前でもとってお母さんを楽させてあげよう(楽させてちょうだいよ/byお母さん)」となることもあるだろう。
「それならWiiから出前とればいいじゃん」となるのだ。InsightNowのFMOでも取り上げた「日本最大の飲食店注文サイト・出前館」を運営する夢の街創造委員会と任天堂が提携し『出前チャンネル』がスタートする。
自宅の住所を指定すれば、注文可能な店舗が一覧で表示され、使い慣れた『リモコン』で注文できる。「商品が届くまでの待ち時間や過去の注文データを表示できる機能も用意(日本経済新聞2008年12月26日付27面)」という。これらはパソコンですでにできることだが、それをお母さんや、おじいさん・おばあさんでも簡単にできるようにするのが『出前チャンネル』なのだろう。
家族みんなとつながるマシン『Wii』
ここまでくるとWiiは、もはや単なるゲーム機とはいえないのではないだろうか。これを岩田社長は「音楽やカメラ機能、健康管理など利用者を笑顔にするものはすべてゲームと定義してみる(日本経済新聞2008年12月26日付11面)」と表現している。
であるなら、Wiiの可能性はさらに広がるだろう。何しろ最先端の半導体技術を使って電力消費を抑え、一日24時間中ずっと通電できる、すなわちネットにつなぎっ放しにすることが可能なマシンがWiiなのだ。
教育、医療、通販なんでもできるマシンがWii。といったら言い過ぎになるのかもしれないが、任天堂の狙いはとんでもなく広く深いのではないだろうか。
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