「デジタル化」の進展、それは、 何事も「数字」で把握する傾向 が強まることです。
確かに、「数字」という客観的な尺度で物事を見ることは、
企業運営を円滑に行う上で必要なことではあります。
しかし、この傾向が行き過ぎると
「数字至上主義」
になる危険性をはらんでますよね。
たとえば、伊勢丹の入社3-5年の若手バイヤーは、
売れ筋の品番を即座に、そらで言えます。
(日経MJ、2007/06/18)
品番はたぶん10桁とかの数字ですよね。
すごい記憶力。
ところが、店頭にいる時に、
「売れている商品はどれか」
と聞いても、バイヤーたちは商品自体は見ずに、
商品に付けられているタグの品番を探すんだそうです。
個々の商品の色や形ではなく、
数字でしか商品を識別できないわけです。
こうした傾向は、10年選手のバイヤーにもあるそうです。
1ヶ月に1枚も売れない衣料品のデータを見て、
「メーカーに返品していいですか」
と上司に聞きに来る。
上司は、「ちょっと待て」と言って、
この道30年のベテラン販売員を集めて、
「売れるものと売れないものを分けてくれ」
と頼む。すると、
「これはダメだけど、これはもっと前に出せば売れますよ」
などと分類してくれる。
そして、言われたように陳列をいじると、
1ヶ月に1枚も売れていなかった商品がいきなり
「ベストセラー」
に様変わりしたりすることがあるそうです。
単に、結果の数字だけを見て「売れない」と
短絡的に判断するのは必ずしも正しくない。
こちらに「売る気」があれば、
売れ始めることがあるということを忘れちゃいけません。
つまり、商品販売については、
・売るのか(積極的に・・・)
・売れるのか(商品力で黙ってても・・・)
の両側面があるわけですが、
どちらか一方ではなく、バランスが大事ですよね。
最後にもうひとつ、積極的に「売る」ことで成功した事例。
(Works 82号、2007/06/07)
京成成田駅徒歩数分のスーパー、「ヤオコー成田駅前店」
同スーパーで、調味料、お菓子、日用雑貨などを扱う
グロッサリー部門の責任者は、下澤洋子さん。
下澤さんは、ヤオコー92店のグロッサリー部門で
利益率トップの“スーパーパート社員”です。
さて、下澤さんが「売ろう」としたのは、長野県産のみそ。
1キロの定価が900円超。ずいぶん高いですね。
月1度の特売日は3割引になるものの、
同店の売れ筋みそは、200-300円程度でしたので、
特売日でさえ、価格差は2倍もあります。
したがって、このみそは、
特売日でも1日2個売れればいいほうでした。
(つまり、普段はほとんど動いていなかったということです)
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2008.04.26
2008.05.01
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。