連日、金融不安により日本企業の業績が悪化しているという報道が相次いでいる。 しかし、業績悪化の理由は事業が行き詰っているからではなく別の理由からではないだろうか。 大手企業のグローバルビジネスを手掛けているコンサルタントが金融不安による影響を解説していく。
さて、9月に始まったリーマンショックで世界の情勢はどのように動いているのでしょうか?
世界に金融危機が広がってから、私は中国に2回、香港に1回出張いたしました。また私のグループのメンバーはドバイやアメリカで仕事をしていますので、ごく短期間で世界の情勢の変化を感じることができました。
第一に、金融不安の状況を日本のマスコミは正確に報道していないように感じます。特にトヨタ自動車が70%利益を落としたとか、三洋電機がM&Aされるとか、大企業の芳しくないニュースが毎日新聞、テレビで報道されています。
大切なのは、今回の金融危機は各国の事業会社の事業が行き詰っているのではなく、世界同時株安により企業の資産価値が目減りしているのだということを忘れないでください。香港でも上海でも、ドバイでも一般の人の消費活動はそれなりにパワーを感じています。都市によっては昨年よりも元気を感じます。日本の地方都市(最近では東京も含むかもしれない)の元気のない不況ぶりとは全く違うでしょう。
私は香港や上海で今回の金融危機により、株で大損した人と出会いました。株で損をしているのは、日本や一部の先進国以外では普通の一般人ではないでしょう。機関投資家だったり企業の経営者だったり、土地で儲けた人だったりと一部の限られた人でした。でも確実にこのような超のつく富裕層が香港や上海の内需を支えていたことは事実です。
これまでは中国の大都市でも、香港でも、マカオでも欧米の高級ブランド、世界の高級レストランが元気でした。これからは株で大損しなかった、次の層が消費を牽引していくことになります。
中国であればニューリッチ層と呼ばれる月収が10~12万円ほどの若者たちです。彼らは日本企業や外資系企業に勤め、上昇志向の強い人たちです。いくつかの欧米企業はこの金融危機で世界の拠点を整理するかもしれません。でも彼らはしっかりと自国の経済を支える消費リーダーになるはずです。
実際に9月以降も、私のところには海外進出の相談がたくさんきています。マクロにみれば世界経済の不安がブレーキになってしまうかもしれませんが、ビジネスは本質的にライバル会社との競争で成り立っているわけです。
今の経済環境を背景に、虎視眈々と準備を進めていくのが、近い将来世界が特にアジアが大好況に戻るときにリーダーシップを発揮していけるのではないでしょうか。
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