米国発金融危機の影響で、国内の求人・雇用情勢が一変した。仕事を「選べる人」になるのか、「選びにいく人」になるのかで、キャリア・人生は天地雲泥の差が出る。
自分の仕事の世界観をつくるには、
明確な目的を抱き(=自分が働く方向性・イメージ・意味を腹に据え)、
自分の道を“限定”していくことです。
自分を目的に沿って限定することが、
逆説的だが、実は、選択肢を広げることにつながっていく。
今の世の中は、専門バカといわれようが、オタクと呼ばれようが、
そんな小さな隙間分野に固執して大丈夫かと言われようが、
自分の決めた目的の下に、粒立った一個の仕事人になることが
「選択力」を高めることにつながる。
「選べる自分」になるのか、「選びにいく」自分になるのかの分岐点は、
理屈をこねず、怠け・甘え・臆病を排し、
ひとたび腹を据えて、目的(当初はあいまいでもよい)を設定し、
そこにがむしゃらに動くかどうかです。
それを実証してみたいなら、
何かに3年間しがみついて、こだわって、没入してみること。
―――すると選択肢が自分のところに寄って来るのがわかるでしょう。
多少の勇気と不屈の心さえあれば、「選べる自分」に人生転換することができる。
特別な能力は必要ない。
私は毎朝メールボックスを開けるのが楽しみです。
きょうも既知・未知の誰かから、
何かしらプロジェクトの提案メールが来ているかもしれない。
「選べる自分」になると、未来がワクワクする。
●【補足の話】
阪急グループ創業者である小林一三の言った有名な言葉:
「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。
そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ」。
豊臣秀吉が織田信長の下足番からのし上がり、
ついには天下を取った話は有名です。
小林は著書『私の行き方』の中でこう補足する。
「太閤(秀吉)が草履を温めていたというのは
決して上手に信長に取り入って天下を取ろうなどという
考えから技巧をこらしてやったことではあるまい。
技巧というよりは草履取りという自分の仕事にベストを尽くしたのだ。
厩(うまや)廻りとなったら、厩廻りとしての仕事にベストを尽くす、
薪炭奉公となったらその職責にベストを尽くす。
どんな小さな仕事でもつまらぬと思われる仕事でも、
決してそれだけで孤立しているものじゃない。
必ずそれ以上の大きな仕事としっかり結びついているものだ。
仮令(たとえ)つまらぬと思われる仕事でも完全にやり遂げようとベストを尽くすと、
必ず現在の仕事の中に次の仕事の芽が培われてくるものだ。
そして次の仕事との関係や道筋が自然と啓けてくる」。
要は、生涯、下足番になり下がるも、
それを極めて次のステップに自分を押し上げるも、
すべては本人の心持ち次第ということです。
演劇の世界に「小さな役はない。小さな役者がいるだけだ」という言葉もある。
切り替えて言えば、
「小さな仕事はない。仕事を小さくしている働き手がいるだけだ」ということになる。
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2010.03.20
2015.12.13
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。