今、アクセシビリティの高いWebサイトが求められている背景について解説する。Webアクセシビリティとは、Webを利用する上で「高齢者や身体障害者などを含むできるかぎり多くの人々が、使えるかどうか もしくは使いやすいかどうか」を意味する。
身体障害者は (健常者よりも)Webを求めている
日本国内における身体障害者のWeb利用に関する統計値は、下記になる。
(※総務省情報通信政策研究所 2003年調査結果に基づく)
・全体のWeb利用者数 : 7360万人
・全体の身体障害者数 : 351万人
・Web利用する身体障害者数 : 160万人(※全体身体障害者数の46%)
すなわち、全体Web利用者の中で 身体障害者の占める割合は 約2%になる。(※160万÷7360万)
また、上記は、あくまでも (身体障害者手帳を持った)公的に認定された方の統計値であって、身体障害の申請をされていない方 や 身体障害レベルに近い方を含めると 数倍に膨れ上がるのでは と言われている。
また、身体障害者は、健常者よりも Webへの依存度(必要度)が高いとも言われている。
「駅まで歩く」「電車に乗る」「デパートを回遊する」「商品を探す」「商品説明を読む」「商品を買う」「商品を持ち帰る」といった(健常者にはあたりまえの)作業を困難としている人にとっては、ネットショッピングが大変便利でありがたくて必要なものなのである。
また、デジタルなWebサイトは、文字や言葉(音声)に形を変えて、ユーザの望む方法で情報提供できる特性を持っている。例えば、全盲の人が新聞の情報を取得する場合は、文字情報を点字や音声にいったん変換しないと取得できないが、Webは 最初から自力で音声ブラウザを用いて音声情報として取得することが可能である。
身体的にも能力的にも多用な高齢Web利用者は 4人に1人
日本国内における高齢者のWeb利用に関する統計値は、下記になる。
・日本の総人口に占める65歳以上(シニア層)の割合 : 20%
・日本の総人口に占める50歳以上(エルダー層)の割合 : 40%
また、全体Web利用者の中で 50歳以上を占める割合は 約25%になる。(4人に1人である。)
また、エルダー層は、身体的にも(ITリテラシー)能力的にも多用な構成になる。
年齢を重ねていても 若い頃と同じ様に元気な人もいれば、視力が衰え 細かい手先の作業が苦手になり 身体的な衰えを感じている人もいる。また、ITという新しい産物を 強制的に業務使用を命じられ 今ではお得意なものとしている人もいれば、いまだに使い方がよくわからないという人もいたり、能力的にもバラツキがある。
検索クローラは全盲ユーザ
検索クローラは、全文検索型サーチエンジンの検索データベースを作成するために、世界中のありとあらゆるWebページを回収するプログラムである。グーグル等の検索サイトは、この検索クローラによって生成された検索データベースを用いて、瞬時にユーザに検索結果情報を提供している。
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2008.09.26
2010.04.20
エフィジェント株式会社 代表取締役コンサルタント
慶應義塾大学 環境情報学部卒。IBM/サン・マイクロシステムズ/PwCコンサルティング社にて、いずれもコンサルタント職として計10年在籍。 その後、エフィジェント社を創業し、代表コンサルタントとして、システムコンサルティング、システム開発活動に従事。専門システムは、デジタルサイネージ/EC/業務システム。