前回、前々回で、 医師が、患者に対する問題を「診断」する方法 についての本をご紹介しました。
お医者さんは生身の人、
あるいは動物たちを診断しますが、
企業経営の診断を行うのが、
「経営コンサルタント」
ですね。
企業経営に関する問題は、しばしば
「○○病」
とたとえられます。
企業が罹患する様々な病気の中でも、
一番知られている深刻な病気は、
「大企業病」
でしょうか。
ですから、各種調査や財務データの分析、
また経営者や社員のヒアリングなどを元にして、
企業経営上の問題点(病名)を特定し、
その処方箋(解決策)を書くことは、文字通り
「企業診断」
と呼ばれることがあります。
私は20代の頃、
「中小企業診断士」
(いわゆる「経営コンサルタント」の国家資格)
の勉強をしていたのですが、
経営コンサルタントとしての企業を診断する能力
の向上には、医者と同様の段階があることを
思い出しました。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
中小企業診断士の資格を取得するためには、
まず企業経営全般についての網羅的・体系的な
知識を頭に入れなければなりません。
具体的には、
・経済学
・経営戦略論
・マーケティング論
・組織論
・人的資源管理
・運営管理(生産、店舗など)
・財務・会計
・経営情報システム
などです。
実は、こうした知識がまだ十分に身についていないし、
もちろん実践経験もない初期の段階では、
どんなに診断対象の企業についてたくさんの情報を
集めても、当該企業の問題がどこにあるのか、
さっぱり判断できないのです。
要するに、圧倒的な知識不足、実践不足のため、
「病名候補」
をそもそも挙げることができないのですね。
ところが、ある程度知識が身に付き、
多少とも実践経験(演習レベルですが)を積んで、
自信が生まれてくると、診断対象の企業の問題点を
発見することの面白さに目覚め、
研究開発上の問題はこれ、組織体制にも問題あり、
報酬制度にもこんな問題、マーケティングには
こんな問題・・・
などと、
「病名候補」
を何十も並べるような時期がやってきます。
まあ、実際のところ、
企業経営上の問題は、生体以上に相互に複雑に関係しあっており、
病巣があちこちに転移している場合が多いのは確かです。
しかし、そうした問題点を解決して企業を立て直すこと、
医者でいえば、病気を治療して健康体に戻すことが最終的な目的
であることを考えると、山ほどの問題点をただ羅列してもあまり
意味はありませんよね。
すべての病巣を一度に治療しようとするのは、
しばしば体制、予算、時間的に困難です。
また、企業の場合、
ある問題点が解決されたことをきっかけに、
その他の問題も一挙に解決に向かうこともある。
次のページ「少数の問題点」
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.10.27
2008.09.26
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。