サラリーパーソン、特に大企業勤めや公務員は「守られた働き人」です。守られるがゆえに“鈍化病”を発症します。その三大症例を寓話を交えて紹介しましょう。
確かに組織にはガラスの天井がさまざまな形で存在します。
暗黙の制度であったり、経営幹部や上司の頭ごなしの圧力であったり、
あるいは(これが最もおそろしいのですが)自分自身で限界を設ける姿勢であったり。。。
ですが、サラリーマンは、結局のところ
自分の時間と労力をサラリーに換えている職業であり、
組織から言われた範囲で失敗なくやっていれば、
給料は安定的にもらえる(ことに慣らされる)。
だから自分を超える、枠を超える、多数決を超えることをしなくなる。
「なぜ、超えることをしないのか?」と問えば、
「組織がこうだから」「上司がこうだから」など批判や愚痴をこぼすだけ。
それはまさに鈍化病の症状です。
・・・さて、ちなみに、上のノミの天井話には続編があります。
いっこうにビーカーの口から出なくなったノミたちを
再び外に跳び出るような状態に戻すにはどうすればよいか?
―――普通どおり跳べるノミを1匹そのビーカーに混ぜてやること。
(ナルホド!)
*注)
なお、ゆでガエルとノミの天井の話は、ビジネス訓話としてよく用いられるものですが、
科学的に根拠があるかは定かではありません。
●鈍化病3【リスクを取ることに鈍くなる】 “落とした鍵”の話
ある夜遅くに、家に帰る途中の男が、
街灯の下で四つんばいになっているナスルディンに出くわした。
「何か探し物ですか?」と男が尋ねたところ
「家の鍵を探しているんです」とナスルディンが答えた。
一緒に探しましょうということで、二人が四つんばいで探すのだが、見つからない。
そこで、男は再び尋ねる。
「ナスルディン、鍵を落とした正確な場所がわかりますか?」
ナスルディンは、後ろの暗い道を指し示した。
「向こうです。私の家の中」。
「じゃあ一体なんでこんなところで探しているんです?」
と男は信じられないといった口調で尋ねた。
「だって、家の中よりここのほうが明るいじゃありませんか」。
―――(『人を動かす50の物語』M.パーキン著より抜粋)
ナスルディンはなんともトンチンカンな人間だと思いませんか。
しかし、これはサラリーマンのひとつの姿をよく表していると思います。
自分が求める解はたぶん向こうの
「暗い・未知の・想定外の展開を覚悟しなければならない・リスクのある所」に
あるかもしれない―――こう思いつつも、
サラリーマン組織にいると、
「適当に見えている範囲で・既知の・想定の範囲内で済む(予定調和の)・リスクのない所」
で、仕事をやろう(やり過ごそう)とします。
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2008.12.15
2010.03.20
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。