サラリーマンの「3鈍」

2008.11.10

組織・人材

サラリーマンの「3鈍」

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

サラリーパーソン、特に大企業勤めや公務員は「守られた働き人」です。守られるがゆえに“鈍化病”を発症します。その三大症例を寓話を交えて紹介しましょう。

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平均株価が下がり始めると、人は「景気後退」といい、
自分の周辺でリストラが出ると、「不景気」と眉をひそめる。
そして、自分がリストラされると、「恐慌だ!」と騒ぐ。

・・・こんなような言い回しを以前どこかで聞いたようなことがあります。
確かに私たちはいま、大変な時に突入しつつあるのかもしれません。
(過度に悲観するのは賢明ではありませんが)

私などのように個人で事業をやっている者にとっては、
すでに今年前半からその下降トレンドはしっかり身で受け止めていましたし、
そうでなくとも、
この好景気といわれたここ3、4年においてすら、
気を緩めることはありませんでした。

しかし、大企業に勤めるサラリーパーソンにとって
現況はさほど深刻なものとして感じられていないのではないでしょうか。
(深刻に受け止めろ、と言いたいわけではありませんが)

私も、90年以降のバブル崩壊とその後の経済低迷期を
大企業のサラリーマンとして過ごしましたが、
世の中が深刻な状況にあるという実感が薄かったのを覚えています。

メディアのニュースでは耳と頭に入ってきても、
自分の給料が激減するわけでもなく、
日々の業務量が減るわけでもなく、
失業の脅威にさらされるでもなく、
株で大損をしたわけでもなく(そもそも株を保有していないので)
資金繰りに駆けずり回るわけでもなく・・・

もちろん会社の経営者は、ことあるごとに
「えー、昨今の経済状況・市場は厳しさを増し、わが社も・・・」と
社内に向かってアナウンスするわけですが、
しもじもの従業員にはあまり刺さっていかない枕詞のようで
日々のことをやりこなすことで時を過ごしていました。

私は、5年前に、晴れてサラリーマン業をやめ、
独立して事業をやっていますが、だからこそいま、
サラリーマンのことがよくわかるようにもなりました。

サラリーマン、特に大企業のホワイトカラー(加えて公務員)は、概して
「守られた働き人」であると思います。
中小企業の経営者や従業員、独立自営業者、ブルーカラーの人びと、
ましてや非正規雇用の人びとは、景気の荒波をほぼ直接的に受けますが、
大企業は、その事業体自身が防波堤となっていて、
そこで従業員は守られます。
従業員個人が受けるのは、防波堤で緩和された波風ですみます。
(もちろん、場合によっては企業という防波堤自身が壊れるときもありますが)

雇用組織が防波堤の役目を果たして、
その中で比較的安心して働けることは、もちろん望ましいことです。
人は雇用の安定保障やら収入保障があってこそ、
仕事に集中でき、内容のあるいい仕事を生み出すことができます。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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