CSR予算が不況のあおりを受け、削減されているというお話しはよく聞きます。でも、日本のCSRはよくわからないですね。コンプラとあいまって、内部統制がCSRというイメージもあります。今日はちょっと長いですが、CSRについてちょっと見てみようと思います。
また、規制がゆるい地域で環境汚染を好き放題やってやろう!というのもまずい。
で、大きな企業を中心として、企業には社会的責任があります。経済合理性だけでなく、EU統合という理念の利益を享受する面もあるんだから、責任も果たしてくださいね、というのがヨーロッパのCSRの元々の面ですね。
ある意味、ノブレスオブリージに近い概念を企業に求めるところから始まってます。
本業をやっていく際の意思決定において、統合に向かうヨーロッパを悪用して社会問題を起こすような意思決定はしないでね、むしろしっかり企業として責任を果たしなさい、と。それがヨーロッパのCSRの根本です。
では、米国はどうなのか。ヨーロッパがCSRと言い始めて、米国もCSRを受容する。企業が社会的責任をまっとうせよ、というのは正しい、と。
米国も社会に対する考え方が日本とだいぶ違うので、なんとも難しいのです。
米国では、ある意味で個人が社会の担い手です。
え?日本もそうでしょ、と思いますか?
米国は最近でこそ、ソーシャルマーケティングという概念が出てますが、寄付したり、ボランティアするのは個人が主体としてやるものです。
米国企業のCEOはセントラルパークでゴミ拾いをしたりしている。NPOでボランティアやったりもします。自由な個人がやるんですね。
日本みたいに、企業活動として地域貢献、寄付というのとはちょっと違いますよね。
投資で有名なパークシャーハサウェイのバフェット氏も寄付は個人ですべき!とおっしゃってます。
そういった意識高き個人は、投資家として、株主としても投資先の企業を考えます。その時に、社会を担う個人の義務として、社会的責任を果たしている企業に投資したい、という考え方がそもそもあります。
CSR活動をやってますというのは、米国だと投資家からの圧力、もしくは投資家へのマーケティング的な意味合いが大きいと思います。
日本は、ある意味で混乱の最中にあると思います。CSR報告書を作るのが、CSR活動だったり、本業の罪滅ぼし的にマクドナルドが食育をCSR活動と称してやったり、J-SOXの導入とあいまって内部統制マターになっていることもあります。
従業員が個人情報を持ち出したり、会社情報を持ち出したり。ほうっておくと社会的な責任を問われるからCSRの視点から内部統制を!という理屈を先日聞きまして、頭が痛くなりました。
どんな経営コンセプトであろうとも、それが導入されることで、経済的に、社会的にプラスになり、人々がより豊かに、幸せになるのなら、それはそれでいいと思います。
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CSR
2009.10.26
2008.11.01
2008.10.26
2008.07.08
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。