屋外広告の効果測定

2008.10.24

営業・マーケティング

屋外広告の効果測定

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

マーケティング施策(広告・販売促進等)の効果を 正確に測定することは、マーケティング業界の長年の課題です。 効果がわからないと、 費用対効果(ROI)が判定できませんからね。

マーケティング施策において、
各種インターネットツール(Webサイト、eメール等)の導入が
急速に浸透した背景には、オンライン施策に対するターゲット
顧客の反応が、比較的正確、かつ容易に捕捉できるため、
効果測定がしやすいという点も挙げることができると思います。

さて、リアルの世界で最も効果測定が難しかったのが、

「屋外広告」

です。

つまり、置外看板や屋外ビジョンの場合、
効果測定用として入手可能なデータと言えば、
せいぜい、1日当たりの通行量くらい。

要するに、当該看板やビジョンの前を
どれだけの人が通過したかがわかるだけ。

でも、看板の前を通過する人のうち、
どのくらいの割合の人が実際に当該看板やビジョンを
見てくれたかというところまでは捕捉不可能でした。

テレビの視聴率でも、
基本的にはテレビがONになっていれば視聴率として
カウントされる仕組みですから、

「ネコが見てても視聴率」

と揶揄されてきました。

それでも、まだ「家庭」という限定された空間ですから、
テレビがONになっているけれど、まったく見られていない
ということはないでしょう。

しかし、屋外を歩く人々のほとんどは、
ヒマ人はさておき、おおむねどこかに向かう途中でしょうし、
わざわざ広告に目を向ける人がどの程度いるのか、
推定しようがありませんでした。

ところが、技術の進歩はすごいですね。

カメラ+画像認識システムを活用して、
屋外広告を観た人を自動的に捕捉できる仕組みが
登場しています。

既に、渋谷駅前の「QFRONT(キューフロント)」の
壁面にあるビジョンで実験が始まっているのだそうです。

(日経新聞夕刊、08/10/21)

記事によると、ビジョンに設置された2台のカメラが
渋谷駅前のスクランブル交差点の一角を撮影。

通行人の顔を自動的に認識し、
ビジョンの画面を数秒間見た人を

「視聴者」

とみなす仕組みです。

また、カメラに映った人の顔の特徴から、
性別や年齢を推定して、

「ビジョンの性別・年齢別の視聴者数」

を出すこともできるようです。

性別はともかく、
年齢推定の正確性には多少疑問符がつきますが、
それにしても画期的だと思います。

あなたは屋外広告を見るが、
屋外広告もあなたを見ている。

といったところでしょうか。

屋外広告の実質的な視聴数が明確になることは
ある意味、「両刃の剣」ではありますが、
屋外広告の費用対効果をより正確に把握したいと
願ってきた広告主としてはありがたい仕組みですね。

(関連記事)
*お客さんの顔識別システム
http://www.mindreading.jp/blog/archives/200809/2008-09-04T1459.html

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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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