つい最近、電通の大幅な売上ダウンが話題になった。悪いのは電通だけではない。2008年4?6月期・東京地区のテレビ広告費は前年同期比13%のマイナスとなっている。広告業界ではいま、ラジカルな地殻変動が起こっているのではないだろうか。
非線形メディアへのシフト
そこで起こるのが非線形メディア(勝手な造語ですけれど)へのシフトだと思う。傾向は既にあった。いわゆるザッピングである。たとえテレビを見ていたとしても、ひっきりなしにチャンネルを変えていく。中途半端にドラマなどを見続けるたりすることには、とてつもなく時間の無駄遣いを感じる人が増えているはずだ。
とはいえ動画は総合芸術としておもしろい、見たい。そんな人がYouTubeやニコニコ動画に流れているのだろう。そこには例えばドラマやスポーツゲームのおいしいところだけが編集されてアップされている。そこだけ見れば満足という人には、こうしたネット系の動画メディアは最高の非線形的メディアだと思う。
ネットとテレビで決定的に異なるスポンサーメリット
こうした全体的な傾向、すなわち新聞は遅くともここ2?3年のうちに廃れ、さらにはテレビからネットへの広告シフトが加速すると考えるには、もう一つ決定的な理由がある。
スポンサーにとってのメディア価値である。
ネット広告には、スポンサーにとっては素晴らしいメリットがある。すなわち精緻な効果測定が可能なことだ。アクセスログからその後のユーザーの導線測定、最終的に購買に結びついたかどうかまでをネットでは相当精密に測定することが可能だ(もちろん、まだ現時点では完璧とまでは言えないけれども)。
一方で広告代理店やテレビ局にとってテレビの致命的な欠点は、効果測定ができないこと。これに尽きる。視聴率という数字がかなりいい加減なものであり、さらにはリアルタイムでテレビを見ない視聴者が増えている現状では、そもそも視聴率の意義すら失われかけている。
しかも、その視聴率が販売にどれだけ結びついているのか。ブランディングについてもテレビ広告の効果を、精緻に考査したデータがあるとは聞いたことがない。個人的な推測では、そんなものたぶん出しようがないと思う。
これに対してネット広告は正直である。しかも成果報酬型でさえある。いま広告代理店との取引で決裁権をもっている部長(いろいろごニョゴニョしてもらっている人たちですね)さんクラスが代替わりする時点で、テレビ広告は激減すると読んでいるのだけれど、さて、どうなるだろうか。
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