アートディレクター、佐藤可士和氏は、 クリエーターの仕事とはどんなものなのか について次のように語っています。
“社会をキャンバスに、
自分の作品を通じて新たな視点を提示すること”
そして、
「新たな視点」
を提示するための発想法のひとつとして、
佐藤氏は、
「枠の外に出ること」
を提唱しています。
例えば、佐藤氏が、
ネーミングからパッケージまでまるごと一任されたキリンの
「ちびレモン」
のプロジェクトでは、
・まず商品コンセプトがあって
・次にパッケージがあって
・メディアに載せる
という、
従来の商品開発・販売の型どおりの手順
という枠から出て考えたのだそうです。
佐藤氏によれば、
ちびレモンを発想するにあたっての
一番のポイントは、
「(コンビニなどの小売店の)棚こそ商品の価値を伝えるメディア」
と考えたことでした。
そして、棚をメディアと捉える前提から、
目立つためにどうしたらいいかを考えた結果、
「小さくてかわいい」
という商品コンセプトに至り、
500mlのボトルサイズながら棚に並ぶと、
一つだけぽこっと小さくて目立つパッケージが
開発されたというわけです。
小さくてかわいいパッケージですから、
「ちびレモン」と命名。
ロゴやキャラクター、CMなども、
手描きを採用した
「かわいい世界観」
で展開されました。
佐藤氏は、
“メディアが多様化している現在、
よっぽどおおげさなことをやらない限り、
人々がモノを買わない時代”
であるから、
“商品やサービスの中身を枠内で競うのではなく、
ある商品を枠の外全体から見ればどう見えるのか、
何に見えるのかという視点が大事なのです”
と述べています。
なお、昨日(08/10/06)から始まった
「劇的3時間SHOW」
http://www.geki3.jp/top.html
のトップバッターとして登場した佐藤氏は、
「枠の外に出ること」
の意義について語る中で、
現代美術に大きく影響を与えたフランス人の美術家、
マルセル・デュシャンの問題作
「泉」
に触れました。
ご存知かと思いますが、
デュシャンは、なんの変哲もない男子用小便器に
「泉」
という作品名を与えて展示会に出展したのです。
これは、文字通り「枠」に囲まれた
キャンバス
の外に出ることで、
新たな美術の可能性を示したものだったわけです。
当記事は以下を元にしました。
・新聞記事
「クリエーティブをひとつまみ」
(日経産業新聞、2008/10/07)
・佐藤可士和氏講演
「劇的3時間SHOW」(2008/10/06)
(Cofesta Original Event、青山・スパイラルホール)
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2008.10.28
2015.07.10
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。