ハイブリッドの時代

2008.10.28

営業・マーケティング

ハイブリッドの時代

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

香港で一番有名な日本語はなんだか知ってますか? それは、ひらがなの 「の」 なんだそうです。

街中を歩くと、

「新の城」「優の良品」「日の船」

など、「の」を使った店名の看板があちこちにあります。

なぜ「の」が香港で好まれるかの理由について、
最も有力な説は、

「高品質な商品を提供できる日本を連想させるから」

ということらしいです。

また、

「丸っこい形が、記号としてかわいらしいから」

ということもあるようですね。

すなわち、具体的な意味を伝えるのではなく、
高品質とか可愛いといった感覚的なイメージを伝える

「デザイン」

としてひらがなの「の」が使用されているというわけです。

類似の理由で、
ユニクロのニューヨークSOHO店のロゴは、
アルファベットの「UNIQLO」に加えて、

カタカナの「ユニクロ」

が採用されているのはご存知かと思います。

SOHO店を訪れる大半の外国人にとって、
店頭に掲げられた旗やショッピングバックなどに
印刷された

「ユニクロ」

というカタカナは意味不明の単なる記号にしか見えません。

しかし、見慣れない文字だけにインパクトがありますし、
少なくとも

「ユニクロは日本発のブランドである」

というアイデンティティを感じることができますね。

さて、日本人は、

漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベット

の4種類を駆使する世界でも稀な民族です。

ユニクロSOHO店のデザインを行った、
アートディレクターの佐藤可士和氏によれば、
外国人は、日本人デザイナーが取り組んでいるパンフレット
などの各種制作物の上に、上記の4つの異なるスタイルの文字
がバランスよく並んでいるのをみて驚くのだそうです。

基本的に「アルファベット」しか使わない外国人としては、

「なんと器用なことができるのだ」

という感嘆の声を上げるのです。

佐藤氏は、日本人は古来から、
外部から様々なものを取り込んで、
従来のものと上手に融合させる

「ハイブリッド」

が得意だと先日の講演で指摘していました。

確かに、私たちは、

「和洋折衷」

という言葉があるほど、
様々な分野でのハイブリッド化を実に
柔軟にやっていますよね。

そういえば、
世界的に評価の高いトヨタの

「プリウス」

も文字通りハイブリッド。

現代は、以前よりもさらに、
多種多様なモノの自由な組み合わせによって
イノベーションを起こすことが重要だと
考えられています。

佐藤氏も強調していましたが、

「ハイブリッド」

が現代のキーワードなのです。

日本人が様々な分野で世界をリードできる時代
なのかもしれませんね。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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