8/18から米国サンノゼで開催されたSES(Search Engine Strategies)というカンファレンスに参加してきました。
今年のSES全体に共通していたテーマをあげるとすれば「Googleの次に来るものは何か」と「オフラインやディスプレイ広告の再評価」という2点に集約されるのではないでしょうか。
周知の通り、アメリカでは検索連動型広告がネット広告費の約41%と最大の割合を占める一方、全検索の60%以上はGoogleから行われています。
更に、検索数について、約20%のシェアを持つYahoo!までもが、Googleから検索連動型広告の配信を受けると発表したことで、アメリカにおいては、ネット広告を出すことは、Googleに広告を出すこととほぼ「同義」になりつつあります。
検索連動型広告市場がGoogle 1社に支配されることに危うさを感じ始めた広告主と、このままではビジネスの機会を失いかねない他の検索エンジンやネット広告事業者達が「Google以外に頼れるもの」を巡って議論を重ねたというのは、今年のSESにおいて非常に特徴的な点であったと思います。
例えば、SESの初日には「What Next?」というトラックが設けられ、検索ユーザーの意図や背景を理解しようとするセマンティック技術や、ブログやSNSなどのソーシャルメディアを活用した広告サービスの可能性が論じられました。その背景には、こうした新たな技術やサービスが広がることで、ネット広告におけるGoogleの支配力が相対的に弱まるのではないかという「期待感」も見え隠れしていました。
また、2日目に行われた「IT業界の巨人たち」と題された公開討論会では、昨年までSESの議長を努めたダニー・サリバン氏や、Googleのマット・カッツ氏ら、業界の「大物」達が一同に会し、今後、Googleに取って替わる企業やサービスは現れるのかというテーマで熱い議論が交わされました。
・莫大な人的・経済的資源をもつマイクロソフトでさえ、いまだなし得ていないことを、他の企業にできるはずは無いだろう?
・複数の有力企業による「競争状態」こそが資本主義の正しい姿だと言いながら、どうして検索業界のことになると、「Googleに勝てないなら、存在する価値が無い。」といった極端な議論になってしまうのか?
・中国や日本ではGoogleが覇権を握っているとは言えないが、だからといって、中国最大の検索エンジンである百度(Baidu)が「Googleキラー」ということになるのか?
などなど、議論が百出する中で、1時間の討論はあっという間に時間切れとなってしまいましたが、裏を返せば、費用対効果やリーチの点で、検索よりも優れた広告手段として、全員の意見が一致するような技術やサービスは現時点では見当たらない、というのが「結論」であったという見方もできるかと思います。
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