北京オリンピック開会式には度肝を抜かれた。そして、あれがCGを使ったり口パクだったと聞いて、さらにたまげた。とにかく「いきなり」「突然」を特長とする中国の今後はどうなるのだろう。
もちろん、恐らくは高速回線のネットで通販をばんばん楽しめる、なんて階層にある人たちは、中国でも富裕層クラスである。とはいえ、仮に中国での富裕層が全人口の5%だったとしたら、どうなるか。ターゲット人口にして実に6500万人もの巨大通販マーケットがいきなり現れることになる。こんなマーケットがあることに気付いている日本企業はどれぐらいあるのだろうか。
中国の外食産業は世界をめざす
そして「いきなり」は、中国国内だけの話ではない。中国から国外へと進出を図る企業も出てくる。たとえば中国で火鍋しゃぶしゃぶチェーンを展開する「小尾羊」は、昨年12月日本で第一号店を出した。さて、どんな店を出して来たか。
第一号店となった六本木店のコースは、ざっと5000円から9000円まで。なかなか結構なお値段であるのは当たり前で、同社はこの店を高級業態店としてポジショニングしているのだ。どちらかといえば中国では庶民的な火鍋を、日本初進出に際してはあえて高級業態店として打って出てきている。相当にチャレンジングなスタンスであると同時に、それなりのノウハウや体制を一気に整えてのことなのだろうと推測する。
元がアジアのユーロになるとき
「何もしなければ20年後に円と元の立場は完全に逆転する」と伊藤隆敏東大教授は、今年初めの日経新聞で警告した(日本経済新聞2008年1月21日付朝刊1面)。とはいえオリンピック後にはいったん経済の落ち込みがあるとの指摘も、上海株式市場の動きなどを見る限り確かに現実のものとなりつつあるようだ。
しかし、そうしたミクロな動きに捉われていると、大きな流れを見誤る恐れもある。これからの中国経済が不確定な要素をいくつも抱えていることは間違いないだろう。しかし、中国の成長は、いつも非連続である。いきなりアジア経済圏が中国のイニシアティブの元に形成され、元がユーロのようなポジションを占めてしまうこともある。
そんなビジョンも、頭の中の未来予想図のオプションの一つとして持っておくことが企業の舵取りをする上では必要ではないだろうか。
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