北京オリンピック開会式には度肝を抜かれた。そして、あれがCGを使ったり口パクだったと聞いて、さらにたまげた。とにかく「いきなり」「突然」を特長とする中国の今後はどうなるのだろう。
アテネと北京
今回の開会式には賛否両論ある。あの式典劇をすばらしいと評価する声がある一方で、子どもたちを使ったやらせ演出に対する批判もかまびすしい。個人的には、巨大な足跡型花火がCGによる合成だったことがとんでもなくすごいと思った。さすが中国、やることのスケールが違いまんなぁといったところか。
いずれにしても、あの開会式には中国の特長がシンボリックなまでに現れていると思う。その特長とは『非連続な変化』あるいは『ワープ』である。
おぼろげながらでも記憶に残っているオリンピックといえば、一番古いのがメキシコである。それ以来、途中では興味を完全に失ってまったくテレビも見なかった時期があるが、ここ最近バルセロナぐらいからあとの五輪は、わりと熱心にみている。そして北京である。その前のアテネの開会式と今回を比べれば、その質が明らかに違うとは言えないだろうか。
非連続な中国の変化
中国では固定電話が各家庭に普及する前に、みんなケータイをもつようになってしまった。だから日本のように家に電話があって、家族一人ひとりがケータイを持ってというスタイルではない。電話といえばすなわちケータイである。ケータイが普及する前は、街角にある公衆電話ハウスで電話をかけさせてもらうのが一般的なスタイルだったのだ。えらい急激な変わりようである。
あるいはインターネットの普及状況にも非連続な変化がみられる。日本ではまず電話回線を使ったネット接続から始まり、ISDN、ADSLを経てようやく光ファイバーがメインになりつつある。ところが中国でネット接続といえばいきなり光ファイバーである。
交通機関でも似たようなことが起こっている。鉄道については、新幹線が走るより早く(あるいは同時期ぐらいだったか)リニアモーターカーが開通した。街並の変化にしてもそうだ。上海や北京などの一部には、ほとんどSF(ブレードランナー的な世界とでもいえばいいか)チックなビルが林立している。
物販もワープしてネット通販へ
こうして社会的なインフラが非連続的な進化を遂げれば、社会生活にもドラスティックな変化が引き起こされる。いま中国に登場しつつある「未来市場」はネットショッピングだという。ここでもアメリカで始まり日本もそのプロセスを経てきたカタログ通販というステップが、すっ飛ばされていることがわかる。
そもそも通販という習慣すら根付いていたかどうか怪しいわけだが、ともかく中国ではネット通販が急成長しているようだ(日経MJ新聞2008年3月12日付け5面より)。
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