取締役の平均年齢が若い企業ほど、収益力が高いというデータがあるらしい。とすれば、年齢と収益力には何らかの相関関係があるとも考えられる。仮に関係があるとしたら、どんなものだろうか。
一種の情報洪水的な環境にさらされていると、意識が変わる人も増えるはずだ。知らないうちにさまざまなシミュレーションをインプットされていることも何らかの影響を与えるだろう。もちろん、いくらバーチャルな情報を得たからといって、そこで得た知見がリアルな場にそのまま通じることはない。しかし、たとえば筆者がサラリーマンを始めた20数年前を基準とするなら、今はたとえバーチャルとはいえ吸収できる情報量に数次元の隔たりがある。
さらには特にネットに顕著だが、インタビューやブログなど個人的な体験談、成功事例も膨大にある。英語を読めるなら、そうした情報はさらに爆発的に増える。ハーバードのビジネススクールで使っているケースだってネットなら読める時代なのだ。こうした実体験に基づいた情報への接触は、人によっては実体験を積むのとニアリーイコールな効果をもたらす可能性がある。
しかも、そうした意識の高い人たちのための出会いの場も、ネット上にはあり、ネットからオフへの流れもある。これが以前なら「売り込まんかな」の異業種交流会や二世経営者が集まるJCのような機会しかなかった状況とは、大きな違いだ。梅田望夫氏風にいうなら「経営者を目指す人たちのためのハイウェイ」が用意されているのだ。
以前なら実体験を踏まないことには解消できなかった、すなわちそれだけの時間を絶対に必要とした経験知を、今はあり余るほどの情報が補っている可能性は十分にある。
若いほど過去に捉われず、失敗を恐れない
では、とりあえずいまの40代は、以前の50代、60代と情報経験量において差がそれほどないとしよう。仮にそうだとしたら、若い役員が多いほど高収益を上げることができるメカニズムについて考えてみる。
そんなものがあるとしたら、それはハイリスク・ハイリターンのメカニズムだと思う。つまり若い人の方が年輩の方より失敗を恐れないし、捉われる過去(の成功体験)も少ない。だからリスクを取る意思決定をしやすい。従って若い役員に事業を任せきることができれば、ハイリスク・ハイリターンな策を取る確率が高まるだろう。
もちろんハイリスクであるから失敗する可能性も高いわけだ。しかし、当たればでかいのである。そして高収益を上げるためには、大ヒットを飛ばすことが必要な環境になってもいる。さらに万が一、失敗したとしても定年間際での失敗と40代での失敗を比べれば、若い方がダメージを小さく抑えることができる。やり直しも効く。そしてやり直すときには、過去の失敗体験が必ず生きてくる。
といったメカニズムがあるとしたら、若い役員が多いほど高収益になるという話も納得できなくはないと思うのだが、いかがだろうか。
※
文中でふれた内容については下記を参考にしました。
日経産業新聞2008年6月23日
日経MJ新聞2008年6月23日
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