iPhone上陸とAppleの巧妙な戦略

2008.06.10

営業・マーケティング

iPhone上陸とAppleの巧妙な戦略

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

つい先日、ソフトバンクがiPhoneの日本での発売をプレスした。かと思えば今朝、Appleが7月11日からの発売開始を発表。しかも、極めて巧妙なApple流マーケティング戦略が仕込まれている。

古くはiMac&.mac、続いてがiPod&iTune。そして今度はiPhone&MobileMe。肝はハードとソフト(サービス)が必ずセットになっていることにある。Appleは日本での(そして世界22カ国で同時発売となる模様だが)iPhoneデビューに、MobileMeというかなり画期的なソフトサービスをセットしてきた。

MobileMeとは、いわゆるWebサービスである。ある意味、.macの進化版だが、.macとMobileMeには決定的な違いがある。.macがあくまでも単なるストレージ(これをプッシュ&プル型と名づけることにしたい)サービスだったのに対して、MobileMeはストレージ&自動配信/sync(プッシュ&プッシュ型と名づける)サービスである。

どういうことか。たとえばオフィスなり自宅なりにあるMac(WindowsPCでも、もちろんよい)のカレンダーに予定を書き込む。と、書き込まれた内容が自動的にiPhone、あるいはiPod touchやMacBookなどにも反映される。反映されるのはカレンダーだけではなくメールもだ。

ということは、いまGoogleが展開しているGmailやGoogleカレンダーとサービス内容はほぼ同じ。ただ一点、決定的に違うのが、MobileMeはiPhoneの使い勝手を考えて作り込まれていること。すなわち、メール、カレンダーの変更などが自動的にiPhoneには『プッシュ』されること。これにより、パソコンとiPhoneはシームレスな連携がとれることになり、ビジネスパーソンにとっての使い勝手はぐっと高まるだろう。

さらにiPhone&MobileMeを使えば、恐らくはWord、Excelなどのドキュメントを見ることはもちろん、インプットデバイス次第では修正することもできるはずだ。iPhoneの操作性次第では競合となるスマートフォンやビジネス系ケータイに対して、かなりなアドバンテージを得る可能性もある。

いずれにしてもAppleがいかに戦略的であるかは、たとえば日本のケータイメーカーやキャリアが展開しているハード&ソフトサービスと比べればよくわかる。ハードに関しては、コンパクトなケータイサイズにも関わらず、何とか使えるキーボードを備えたスマートフォンがいくつか出ている。が、そうしたハードに何らかのソフトサービスがセットされているケースはない。

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