「起業家」ではなく、「職人」としての生き方と仕事術

2008.05.29

ライフ・ソーシャル

「起業家」ではなく、「職人」としての生き方と仕事術

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

筆者は40歳を前に、3社、16年に渡るサラリーマン生活に終止符を打ち、独立・起業し、現在4期目に入っている。昔の言葉でいえば「脱サラ起業」となるのだろうが、しかし、同じような経緯を辿った人でも意外とその狙いやゴール設定、そして仕事術は異なるようだ。そうして考えると、自らは「起業家」ではなく、「職人」なのだと改めて感じた。

一方、お一人様職人の最大の弱点は、自らの手に余る仕事は受けられないということだろう。しかし、これは実は解決できる。昨今、一人で仕事を切り盛りしているコンサルタントやプランナー、デザイナーは実は大勢いる。その「横つながり」をうまく作ることができれば、それなりに大きな規模や、自分の専門領域でない部分が含まれるプロジェクトに手を出すこともできる。
お互いの実力を認め合った職人同士が得意技を出し合ってプロジェクトを推進する。最近、このやり方が実にうまくいっている。マンガやアニメでおなじみの「ルパン三世」になぞらえて、「ルパン一家方式」とよんでいる。もっと大きなプロジェクトで専門特化した職人が大勢必要になれば、映画になぞらえて「オーシャンズ11方式」にしてもいいのだろう。

上記のような仕事のやり方は、個人が組織に縛られたり埋没したりしていては実現できない。しかし、昨今は企業の看板ではなく、個人個人が自らの実績や信用で仕事ができる時代になってきたと言えるだろう。

独立する。起業すると言っても、様々な目標や目的があるだろう。今回は筆者自らの経験を元に、お一人様起業で職人道を目指し、横つながりでプロジェクトを展開するという仕事術もあると紹介をした。
ともあれ、独立起業する際に、自分はあくまで「起業家」を目指すのか、「職人」を極めるのかを考えるのは大事なことではないだろうか。もちろん、途中で路線変更は可能であるだろうが、出だしの方向感は自ら認識しておいた方がいいだろう。学生でも、これから独立をしようという社会人でも、一つの検討ポイントとして、参考になれば幸いだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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