バイヤーは果たして「ノイズ」なのか?

2008.05.25

営業・マーケティング

バイヤーは果たして「ノイズ」なのか?

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

小売店舗のバイヤーは、生活者の買い物を代行しています。当然、彼らは今後、何が売れるかを必死で考えて仕入れているとは思うのですが、未来なんてわかりませんよね。そんな彼らはノイズなのかもしれません・・・。

 マスコミでは、さも後者の考え方でヒット商品が作られている!というようなところがクローズアップされますが、リソースに余裕のある企業は、前者と後者の両方を同時に行っている、でも、後者に向かおうと努力しているように思います。ただ、余裕のない企業は、前者の考え方に留まりがちだとは思います。

 例えば、お菓子で有名なカルビーさんは、1980年代に、「とにかく問屋に押し込め!売ってナンボだ!」というスタンスから、生活者重視に切り替える大規模な活動を実施しました。その転換をするのに、10年の時間がかかったそうですが、相当の成果を上げたそうです。

 また、スポーツシューズで有名なアディダスさんも90年代に最終消費者をコミュニケーション対象に設定する転換を行いました。いわゆる先進的企業でもそういった活動は意外と最近に起こっているんですね。

 私が個人的に思うのは、バイヤーがノイズになり得る状況はようやく最近になって多くなってきた、というところです。メーカーがバイヤーとのリレーションをベースにモノを売ろうとする状況の中では、バイヤーはノイズにすらなれないんですね。最近、ようやく生活者をしっかりと見た商品が増えてきた。生活者の支持が得られる商品と得られない商品の差が如実につくようになってきた。

 そう、バイヤーがノイズだ!と言われる状況というのは、バイヤーにとっては、ある意味、非常にやりがいがある状況だと思うのです。

 ひょっとしたら、あまり知られていないけど、素晴らしい商品を発掘してお客さんに届けられるかもしれない。

 そういうことを次々とやってこそ、バイヤーは新しい価値を社会に提供していると言えるのではないでしょうか?

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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