ハーバードビジネスレビュー『2008年のパワー・コンセプト20+1』では21世紀の職場で活躍する人材像とゲーマー気質の共通点を指摘しています。 この指摘を、現場で活用できるために、準用思考で深めていきます。
私は社員教育担当者や研修サービス事業者の皆様に研修企画・教材開発のサポートをする一環として、オリジナルのビジネスゲームも開発しています。
その関係から、人材教育とビジネスゲームの関係には考えるところが多いのですが、今回、ハーバードビジネスレビュー(2008.5)の特集に『2008年のパワー・コンセプト20+1』として非常に興味深い記事を見つけました。
ジョン・シーリー・ブラウンとダグラス・トーマス(両名とも南カルフォルニア大学)による『ゲーマーは理想の次世代人材(The Gamer Disposition)』という寄稿です。
彼らはMMOG(多人数同時参加型オンラインゲーム)のファンに見られる「ゲーマー気質」と21世紀の職場に求められる人材の気質との共通点を語っています。
今回のように異なる分野の考え方・フレームワークの転用によって思考のスピード向上をめざすことは重要ですが、転用先に対する適切な修正を行う考え方(準用思考)がなければ、その実効性には疑問が残ります。
本稿では、彼らの主張をもう一歩進め、実際に企業組織でこの「ゲーマー気質」を活用するにあたっての留意点も含めてご紹介していきます。
なお、本稿は私の解釈や独自の事例も含まれていることをおことわりしておきます。
彼らのいう21世紀の職場で活躍する人材にも求められるゲーマー気質は次の5つです。
1.成果志向である
2.多様性の効果がわかっている
3.変化を糧に成長する
4.学習を楽しんでいる
5.探究心が旺盛である
以降、まず総論として、そもそもこの指摘をどのように生かせるのか、という点から検討していきます。
総論
個別の要素を検討する前に、そもそもどのような切り口、スタンスで検討するのかを共有しましょう。
この5つの要素は、コンピテンシー(成果をあげる人の行動特性)とも捉えることができます。
人材教育において、コンピテンシーの開発そのものの可否はかねてより議論されているポイントです。
個人的には、成果につながると考えられる行動特性の移転は、かなり難易度の高い作業だと考えています。
ある意味、組織文化の意図的な形成であり、膨大な時間・エネルギー・機会損失を含めたコストを要する割には、成功への不確定要素が多い印象があります。
一方、行動特性という抽象的なレベルではなく、具体的にブレークダウンした行動様式の移転(マニュアル化)であれば、模倣は可能でしょう。
例えば、「顧客のリクエストに素早く回答する」という抽象的な行動特性の移転は難しくとも、「24時間以内に回答可能な場合はAパターン、それ以外はBパターンのメールを送付する」という具合です。
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2010.03.20
2015.12.13
株式会社エデュテイメントプラネット 代表取締役
社内教育担当者・教育事業者・学校法人を対象に、研修(授業)企画・教材開発サービスを行う。 特に、繰り返し実施する研修で、講師の品質に大きく左右されず、常に一定品質以上の教育効果を生むことをめざした研修の企画・開発を行っている。 開発した教材のテーマやメディアは多岐に渡り、ビジネスゲーム『ロボロボ』は韓国大手製鉄会社でも活用されている。