80歳でサックスを始めた人が持っていたものは何か?
何かを始めるには、2つのものが必要です。一つは、始めるための「きっかけや機会」。もう一つは、それを続けるための「動機」です。たまたま「一緒にどう?」と誘われ、「ちょっと手伝ってよ」と頼りにされ、ちょっとだけならと、道具を貸してもらってやってみたら、皆に筋がいいと褒められた。そうしたことが、始めるきっかけになります。
そして「次も来てほしい」と言われた、上達を褒めてもらった、待ってくれている仲間ができた、そうしたことが、続ける動機になります。どちらにも、人との関わりが大きく影響しています。もちろん一人でも何かを始められるでしょうが、周囲に人がいる方が始めやすく、続けやすい。高齢期に新しいことを始められるかどうかは、本人の意欲や能力だけでなく、その人の周囲にどのような人がいるか、どんな関わり方をしているかによっても大きく変わるはずです。
高齢期は、新しいことを始めるのに不向きな時期だと思われがちです。しかしむしろ、うってつけの時期かもしれません。若い頃に比べれば時間もお金もありますし、若い頃のように人と競ったり、比べたりせず、互いに褒め合いながら、純粋に楽しめるようになります。これまで続けてきたものを終え、それによって生まれた時間や余白に、新しい「元年」をつくっていくようにすれば、風吹ジュンさんの「年を取るとは、未来」という言葉も、不思議ではなくなります。
未来とは、残された時間の長さではなく、これから始まるものがあること。そして、「年を取るとは、未来」は、特別に意欲的な人だけに当てはまる言葉ではありません。きっかけと機会、そして一緒に喜んでくれる人がいれば、誰にでも当てはまることなのだと思います。
高齢社会
2025.07.29
2025.09.17
2025.11.17
2026.02.16
2026.03.10
2026.03.23
2026.05.25
2026.07.21
2026.08.31
NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。
フォローして川口 雅裕の新着記事を受け取る