外部から取り入れた情報を頭で記憶すれば、 それは 「知識」 となります。
この「知識」というもの、
たとえ記憶した当時は正しくても、
時間が経つと古くなり、間違った知識になることも
多いのです。
ところが、私たちはしばしば、
古くなってしまった知識を疑おうとせず、
その知識に囚われ、その知識に基づいて
間違った判断をしてしまいがち。
この点は以前も、
『健全な懐疑主義を持て』
http://www.mindreading.jp/blog/archives/200706/2007-06-01T0833.html
という記事で触れました。
古い知識に基づく間違った判断は、
場合によっては「偏見」や「差別」にさえ
つながることもあるだけに、普段から
知識は常に最新のものに更新し続けるということを
心がけるべきだと私は思っています。
さて、突然の質問ですが、
あなたは「エイズ感染者」の余命は
現在どのくらいか、ご存知ですか?
1995年以前は、
25歳でエイズ感染が分かった人の余命は
わずか平均7年でした。
当時エイズが
「死を確実にもたらす病気」
として恐れられたのも無理はありません。
ところが最近の感染者の平均余命は、
なんと推定40年だそうです。
もし、今時点で感染者と判断された人なら
同50年くらい
になるだろうと推測されています。
(日本経済新聞、2008/0217)
これは、健康な人の寿命とあまり変わらないですね。
エイズ治療が劇的に進歩したおかげで、
早めに診断を受け、ちゃんと治療をすれば
HIVウイルスの活動を抑えて長期にわたって発症を
防ぐことができるようになっています。
つまり、糖尿病などと同様、
生涯つきあう「慢性病」となったのが
今の「エイズ」なのですね。
ところが、世間一般では未だ、
エイズは
「すぐに死ぬ病気」
であるという誤解や、
エイズ感染者に対する差別を恐れて
検査を受けようとしない人が多い・・・
また医療従事者でさえ、
こうした最新の知識を持たないため、
HIVウィルス感染者に対する適切な説明ができず、
患者を不安に陥れているのだそうです。
ある妊婦さんは、
通っていた産婦人科からウイルス感染を告げられ、
まるで腫れ物にさわるように、
「エイズ拠点病院」
への転院を勧められたのです。
このため、この妊婦さんは、
「私は死ぬんだ」「子供はどうなるんだろう」
と毎日泣き続けたのでした。
しかし、3週間後、
エイズの現状に詳しい医師の診察を受け、
・子供への感染は薬と帝王切開で99%防ぐことが
できること
・上述したように、HIV感染者も普通の人と
同じように長生きできること
・2人目、3人目の子供も産めること
など正しい知識を教えられて、
安心することができたそうです。
というわけで、自戒を込めて、
知識は常に最新のものに更新すべし!
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2009.10.27
2008.09.26
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。