料理の脇に添えられた、 色鮮やかな「もみじ」の葉っぱなど、 「つまもの」 と呼ばれる商品で「村おこし」に成功した 徳島県・上勝町 の全国シェアはどの程度かご存知ですか?
なんと8-9割。ほぼ独占状態なのだそうです。
この圧倒的な市場シェアは、
当該市場の先行者であることも大きいですが、
高い品質や市場ニーズへの対応力、安定した供給力など
「事業運営能力」
によるところが大きいでしょう。
そしてこの事業運営能力を支えているのが、
コンビニの情報システムをモデルにして開発された
「情報システム」
なのです。
「つまもの」も一種の生鮮品です。新鮮さが重要。
したがって、市場の需要動向を見ながら
タイミングよく市場に供給していく必要があります。
ちなみに、上勝町から出荷される「つまもの」は、
ナンテン、モミジ、カキなどの葉っぱ、
サクラ、ウメ、ボケなどの花、ヒイラギ、ユズリハ
といった祭事ものなど、320種に及ぶそうです。
限られた売り場で多品目を販売し、
最小の在庫しか持てないコンビニの運営と
この点で類似していますね。
さて、上勝町の「つまもの」事業の運営会社
「いろどり株式会社」
と生産者宅に設置されたパソコンは
ネットワークで結ばれています。
そして、会社側からは毎日、
品目別の市況や需要動向
が発信されています。
生産者は、この情報を元に、
どの品目をどれだけ出荷すれば、
大きな収益が得られるかを考えます。
また、POSシステムを導入しており、
出荷した商品には生産者別のバーコードがついているため、
自分の商品が市場でいくらで売れたかも翌日には可能。
したがって、出荷数量など自分の判断の正否がすぐに
確認できて次回の出荷にも活かせます。
マネジメントサイクル(P-D-C-A)が、
しっかり回せる仕組みになっているというわけです。
しかも、このシステムでは、
個人別売り上げがランキングで示され、
自分が何位かがわかるようになっています。
実は、田舎の人ほど負けん気が強く、
プライドが高いのだそうです。
そこで、こうした競争原理を導入することで
生産者のモチベーションを適切に刺激することにも
成功しているんですね。
「いろどり」の代表取締役、横石氏は、
上記のシステムについて興味深いコメントをしています。
“情報システムは基本的には「商売のための仕組み」です。
それが、上勝では生産者が「自分で考えるための仕組み」
になった。どうすれば出荷がうまくできるのか。
80歳を過ぎたおばあちゃんがものすごく頭を使い、
思考力を高めていくのには本当に驚かされました。”
適切な出荷量を決めるためには、
PCに写し出された目先の市況や需要量を
見ているだけではだめなのです。
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2008.09.26
2010.04.20
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。