最近、この本のヒットのせいか、地頭という言葉が一般にも普及しました。私も、面接の時に、「テニスラケットは日本に何本あると思いますか?」と聞かれたことがあります。コンサルタントであれば、いわゆる地頭を使った、こういう思考スタイルは取らざるを得ないのですが、一般企業でどう活用するか?に関して、私は相当に苦労しました・・・。
ぐらいでしょうか?それぞれの力の鍛え方も出てはいますが、ここまで読んで興味がある人は、実際に読むことをオススメします。
ただ、日々の業務にどう活かすか?はちょっと難しいでしょうか・・・。ちょっと、読み手への良心が欠けていると思います。
まず、こういったシンキングメソッドを振りかざす?のは、周囲の人のレベルにもよりますが、たいていの事業会社ではなじまないと思います・・・。たいていの人は、自分の周りの問題を、「部分から」、「入り口から」、「複雑に」考えています。その部分をシェアして、すこしずつ、効率化する、というアプローチ以外にやりようはないと思います。ふりかざせ、とは書いてないのはわかってますよ・・・。
自分が社長だったり、複数部門の管掌をしていれば別です。それでも、視点を周囲のキーパーソンに合わせてあげる必要がありますね。
突然、抜本的なソリューションを提案しても、現場レベルではまず通りません・・・。抜本的な思考をして、答えに先にたどりついても、実行されなければ考えるだけ無駄です。
このへんを勘違いしてしまうと、事業を動かしていくというか、人を動かすことは難しいですね・・・。この本を引き合いにだすと、地頭力を活かすには、機転を利かせる必要が相当ある、ということでしょうか?ただ、そういったことは書いてないですけどね。敢えて書かないのでしょうか・・・。
匿名部長みたいな役職になって、考える職人でも作るなら別ですが、組織を動かそうと思ったら、この力はあってもいいですが、あまり効果は発揮しませんね。
自分は圧倒的なスピードで解を把握していても、今現在、権限を持つキーパーソンの思考スピード以上の結果は出ませんから。
いわゆる、あまり革新的でない事業会社にいた人間としては、この思考技術についてこれる人が、11%(いわゆる普及のポイント)を超えてからは使えるようになるでしょうけど、5%ぐらいしかいないと、苦しいですね。
ネガティブなことを続けて言いますと、この手のシンキングメソッドの書籍は、ずっと出続けています。古くは「意思決定のための分析の技術」、「問題解決プロフェッショナル」から、最近の「ロジカルプレゼンテーション」まで、言っていることの本質はほぼ同じです・・・。
「地頭力を鍛える」は、面接試験の「定番問題」に3分で答えが出せるようになる!とサブタイトルが書いてありますが、3分で答えが出せるようになるのに、どれだけの訓練時間が必要なんだろう・・・、と思ってしまいます。
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2008.06.28
2008.12.06
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。