昔からよく、「これからの営業は、○○セールスでなければならない」と言われたものだ。 思いつくだけで「提案型セールス」「コンサルティング・セールス」「ソリューション・セールス」といったものがあった。なかには、営業部門を「マーティング部」「コンサルティング部」などと、部署名を変える会社まであった。 営業が持つコンテンツとは、あくまでセールスプロセス上のコンテンツであり、そこで勝負するべくコンテンツとは、どうやって生み出していけばいいのだろうか。
社会のなかのサプライチェーンを見たときに、ちょっと乱暴かもしれないが、誰もが顧客であり、営業であると言える。何かを売って対価を得て、何かを買って生活する。
そういう意味では、必ず「何をどのように売るか」「誰から何を買うか」という判断を日々行っているし、売るにしても買うにしても、必ずそこには理由がある。つまり常日頃からセールスコンテンツを評価したり、されたりしている。
昔よく言われたことだが、八百屋のおばちゃんは、お客さんの顔色を見て、野菜を提案するなど、完璧なCRMのコンテンツを頭に入れていたものだ。
そう考えれば、セールスコンテンツとはパワーポイントのことではないことは分かる。普段の生活のなかで、パワーポイントをつかって提案されることなどまずない。普段の仕事でもそうだ。ちょっとした機転や面白さを評価し、購入を決める。その人が気づいてない場合も含めて、「購入」の琴線に触れているのだ。
だから、自分の武器、コンテンツに気づいていない人が圧倒的に多い。だから、売れるときも、なぜ売れたのか分からない。「運がよかったのですよ」の一言が片づける人が圧倒的に多い。
自分で考え続ける
では、成功体験を振り返ればいいのかといえば、残念ながら、過去の成功体験はまず役に立たない。一度コンテンツで成功したからと言って、二番手が効くものでもない。コンテンツとは日々進化していくもので、昨日の魅力的なコンテンツが今日も魅力的かどうかは限らない。
結局、常に自分のコンテンツを考え続けることが重要だ。コンテンツにこれだけあれば十分ということもなければ、昨日、評価されたものが明日も評価されるとは限らない。
営業に限らずそうだが、人は自分ごとになれば動くものだ。立ち上げから参画した企画やプロジェクト。自分のアイデアが入った新たな提案など、自分がかかわったという自信があれば、人は主体的に動く
そういう意味では、会社から与えられたカタログ、上司が作成した資料など、本気で説明する気になるはずもない。
顧客に出す出さないは別として、自分のいる業界のなかで、ソリューション、企画アイデア、考えをまとめてみてほしい。必要なエビデンスは、自分なりに調べてみる。そして、想定顧客に対して、自分の優位性を含めた「疑似提案」をシミュレーションしてみる。
注意してほしいのは、所属する組織のコンテンツそのものにならないことだ。同じ組織で仕事を続けていると、組織の持つコンテンツと自分オリジナルのコンテンツが混在してしまう、というか大半が組織の持つコンテンツということがよくある。あくまで自分のコンテンツであることが重要だ。
毎日考え続けること、必要な情報は調べること。この積み重ねがいずれは大きな自分の武器になるはず。
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