コロナ禍で、「ECが大幅拡大」「巣ごもり需要が活性化」「ECで物流が疲弊」など、世はEC一色のような騒がれ方をしたものだが、ふたをあけてみると、拡大どころかマイナスとなっていた。
また、今年度からフードデリバリーサービスの枠が新たに登場した。市場規模で3,487 億円と急成長した市場となった。データ上では、飲食とフードデリバリーサービスは分かれているので、合算すれば、飲食業のEC売上は、かなりの伸びとなっている。
ということは、相当EC化が進んだのだろうとも推測できるのだが、EC 化率はというと、物販系で前年より1.32ポイント上昇したものの、全体でいえば8.08%と、1割もない。大半の人は、モノはお店に買いに行くのだ。
(サービス系に関しては、EC化率はあえて算出していない)
これまで物販のEC取引はおおよそ10%ずつ伸びてきたので、単純計算すれば、約1兆円分程度が今回のコロナ禍で伸びた計算になるのだろうが、ウーバーイーツや出前館などの新たなサービスが登場したのだから、それぐらいはいくだろう。
品目別でEC化率を見ると、「書籍、映像・音楽ソフト」が42.97%、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」が37.45%、「生活雑貨、家具、インテリア」が26.03%となっており、これらの商材はかなりEC化が進んでいるようだ。
商品の性質を考えれば、「書籍、映像・音楽ソフト」に関しては、いまだに半数もいかないのが不思議なぐらいだし、仕様の明解さを考えれば、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」もECが半数を超えるのも近いだろう。
デジタル商品は14.9%の伸び
また、巣ごもり需要で、デジタル系は相当伸びただろうと推測したが、こちらも14.9%の伸びと、爆発的なというほどのことでもない。もっとも大きな「オンラインゲーム」系は1兆4957億円と大きいが、7.5%の伸びにとどまっている。「在宅になって1日中ゲームやったり、映画見たりしていた」という意見も大多数のように聞こえていたが、これも「なんとか効果」というものなのだろうか、これまでも大好きだった人が、1日1時間程度プレイ時間が伸びた感じとしか言いようのない数字だ。
確かに、有料動画配信は33.1%の伸び、電子出版は36.18%の伸びだが、そもそも3000~4000億程度の市場しかないため、全体に与える影響はさほど大きくない。有料音楽配信は、783億円だ。
旅行やイベントをやめて、巣ごもり需要が増えたという人も多いが、実態は全然カバーできていない。
注目のCtoC市場
メルカリを筆頭に、完全にECチャネルの一つとして定着した感のある個人間EC(CtoC-EC)は、どの程度の伸びなのだろうか。
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