「DXやってます」と言わなければビジネス自体を否定されんばかりの今の状態だが、中小、小規模にとって、分かるようで分からないのが、DXだろう。 レガシーな大企業さんだけの話かと思っていたら、最近は中小企業こそが必要的な話も多い。補助金や助成金も用意されているようだ。
「ユーザー企業は、自身がレガシー問題を抱えていることに気付きづらい特徴がある」「レガシー問題の発見は、ベンダー企業にも容易ではない」とあり、「なんだこりゃ」と正直思う。
よく、DXについてのアンケート調査で、「なにが課題か分からない」「どうすればいいのか手立てもない」という声が多いと聞くが、それも当たり前で、ユーザーは気づかないし、ベンダーも発見できないのだから。
さらにレポートでは、「企業が生き残るための鍵は、DXを実装する第3のプラットフォーム上のデジタルイノベーションプラットフォームの構築において、開発者とイノベーターのコミュニティを創生し、分散化や特化が進むクラウド2.0、あらゆるエンタープライズアプリケーションでAIが使用されるパーベイシブAI、マイクロサービスやイベント駆動型のクラウドファンクションズを使ったハイパーアジャイルアプリケーション、大規模で分散した信頼性基盤としてのブロックチェーン、音声やAR/VRなど多様なヒューマンデジタルインターフェースといったITを強力に生かせるかにかかっています」となっている。
実に大きなお世話までしてくれているわけなのだが、要は「いま」注目されているDXを採り入れないと、えらいことになるぞ。ということらしい。こうした話は、レガシーシステムと呼ばれるITシステムを導入するときも言われていたような話だ。「今変革のとき」というのは、戦後ずっと言われている気がする。そもそも、ここに書いてある言葉の意味は、私はよくわからない。
丁寧に説明してくれる人は、手始めに「紙の書類はできる限りデジタル化すると場所も取らないし、検索も楽ですよ」「サーバーはクラウド化すれば、どこからでもアクセスできるしコストも下がりますよ」「電話やFAXはメールかチャットにしましょう」「プロジェクトのタスク管理はオンラインにすればリアルタイムで管理が可能ですよ」などのありがたい助言をいただくが、そんなレベルのことを言っているのではないことは自明だ。それは中小企業のITスキルをバカにしすぎであって、現時点でそれぐらいのことができていない企業はDXどころの話ではない。
中小・小規模企業の経営者は、こうした動きにまどわされてはいけない。DXのために、本業がおかしくなるという愚の骨頂だけは避けなければならない。
将来まで事業を継続するために、製品の出荷までのリードタイムが短縮し、顧客にタイムリーに提案でき、現場の声をいち早く救い上げ意思決定を早くする、あるいはリスクを低減する、こうした事業の継続に向けて、日々努力を続けるしかないし、これにDXが貢献できるのであれば、どんどん採用するだけの話だ。
本業の本質を見失うことなく、それこそ今こそ、自分たちの強みがさらに生かされるような仕組みづくり。そこにデジタル化が役立つのであれば、積極的に活用する。この基本を忘れずに、あまたある「DX業者」に騙されることなく、事業を継続していきたいものだ。続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
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