みずほフィナンシャルグループが、希望者に対して週休3日や4日の働き方を12月から導入するという。とうとう、自分の食いぶちは自分でなんとかしてくれとの引導なのだろうか。
それにしても、みずほ銀行のこの決定は凄い。
超大手企業が率先すれば、これはかなりの企業に導入が広がるのは間違いないだろう。あくまで「希望者」ならいいが、促されたり、暗示されたりといったことが頻出すれば、それは形を変えたリストラということになる。
しかし、この制度を好意的に評価する人は少なくない。これで学びの時間が増えて新たなキャリアになる、自由な生活を選択するマルチタスクな生き方ができる、副業も自由にできる、といった評価だ。いわゆる働き方改革のひとつの制度として働き手に自由と可能性をもたらすというわけだ。
ただし本当にそうだろうか。
40代、50代のこれまで同じような仕事しかしてこなかった人たちが、果たして新たなスキルや能力を身につけることが本当にできるのだろうか。誰でもわかっていることだが、競争社会で勝ち抜くようなスキルをそう簡単に手に入れることなどほぼ無理で、その道のプロというのは、そんなものではないだろう。
さらに言えば、経営側にしてみれば、願ったりかなったりの制度ともいえる。これまでは、正面切っての減給はなかなかできなかったが、休みを増やすのだから、何も文句は言われない(だろう)。そもそも休めないような忙しい従業員は稼いでくれるのだし、もともと稼げず仕事がないのだから、週に3日休まれても何の問題もない。
みずほフィナンシャルグループとしても苦肉の策だとは思うが、それほど、世の中のホワイトカラーの仕事が激減し、必要がなくなってきたということだ。
これまでホワイトカラーといえば、知識と経験によって新たなビジネスを生み出したり、クリエイティビティを発揮して大きなヒットを生んだりしてきた。
極端な言い方をすれば、そうした可能性をとうとう企業は手放すということとなる。
しかしながら、これは当然の流れでもある。ICTの発展は、ホワイトカラーの仕事を簡単にし、誰でもできる仕事に変わっていった。つい30年ほど前までは、何時間もかけて集計用紙に手書きで書き込み、その数字の推移から職人芸のように課題を浮き彫りにし、ビジネスを展開していたのだ。いまそんなことをする人はいない、というか、自動的に出てくる。そうした仕事の多くは、ホワイトカラーから若手社員に移り、パート社員に移り、そして、AIにとって代わられようとしている。
そこにコロナ禍によって、人と人との接触が激減した。事務作業も必要なく、人が集まる会議や会合もない。いよいよ仕事がなくなってしまった。
想像以上にテレワークが続き、仕事の内容が本質的に見直され始めている。このような制度改革が一気に進むのだろうか。
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