「自信」の2種類~自分らしい“あり方”を体現するために

画像: Career Portrait Consulting

2020.07.24

ライフ・ソーシャル

「自信」の2種類~自分らしい“あり方”を体現するために

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

「自信」とは読んで字のごとく「自らを信じる」ことですが、自らの何を信じることなのでしょう───自信Xは「有能さ」を信じるものであり、そこからは「長けた仕事」が生み出されます。他方、自信Yは「意味」を信じるものであり、そこからは「豊かな仕事」が生み出されます。

しかし結局、私を救ったのは自信Yでした。自分のやろうとする事業の意義や、自分の書く本の内容について強い想いを離さず、依怙地なまでに譲れない軸を持って、自分の表現を地道に発し続けました。

「やっていることへの自信」は、何よりも粘りを生みます。能力の不足や見込みの甘さによって事業不振の苦労は絶えませんが、自分が価値を見出している仕事であるから粘れるのです。粘れるとは、多少の失敗や無視・無反応にもくじけない、踏ん張りどころで知恵がわく、楽観的でいられる、そんなようなことです。

そうしてもがいているうちに、本当に必要な能力もついてきます、成果も出はじめます。そして何より、人数は少なくとも本当の同志・共感者に出会えます。いま振り返ると、あのとき事業をやめなくて本当によかったと思います。私は自信Yによって、しぶとく事業を持続した結果、一人静かに遠くまで来たような気がします。ここで見ている景色は、決して自信Xによって獲得した高い場所からの景色ではありませんが、まちがいなく自分だけの美しい景色です。

◆自分らしいキャリアの体現は「長けた仕事」にあるか「豊かな仕事」にあるか


自信Xは「有能さ」をベースにするものであり、そこからは「長けた仕事」が生み出されます。他方、自信Yは「意味」をベースにしており、そこからは「豊かな仕事」が生み出されます。

「自信X/長けた仕事」の世界は、常に競争や変化にさらされます。人生100年時代、50代、60代、70代までずっと長く働いていくことを考えたとき、いつまで「自信X/長けた仕事」を追えるのでしょう。すでに20代でもこれに疲れ、自己肯定感や自己効力感の喪失に悩んでいる人も多くいます。

働く上で、獲得すべきは「自信X/長けた仕事」のみではありません。「自信Y/豊かな仕事」も同じくらいに大切なものです。むしろ後者は、本来の自分が生き生きと献身できるライフワーク探しにつながっています。私がいま会社員のみなさんに推奨しているのが、1ヶ月の内に1日でも半日でもいいので、「自信Y/豊かな仕事」につながる活動をすることです。副業や兼業としてできるならなおいいでしょう。

自分らしいキャリアの体現場所は、能力を研ぎ澄ませ、他との競争に勝っていくというタテ方向に見出せる場合もありますし、意味を抱き、一人静かに遠くまで歩いていくというヨコ方向に見出せる場合もあります。キャリアは何十年にわたる長き旅路です。その意味で、「自信Y」というものにもっと意識が注がれてよいと思います。



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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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