関西へ仕事や観光で訪れると、いつも感心してしまうコミュニケーションのご当地の特徴がある。 長い日本の歴史において文化の中心、首都であった関西のコミュニケーションについて考えてみたい。
言葉による、コミュニケーションを語るとき、
日本人は非言語文化であるというホフステッドの理論を思い出す。
たとえば米国人は、言葉によるコミュニケーションが主流であり、
Thanks, I love you, I miss you, You're welcome,How'ya doing?
などなど、様々なことばを必ずといっていいほど毎日使う。
ところが、日本、こと東京を考えてみると、
ありがとう。愛しているよ。寂しいよ。どういたしまして。元気?
のような言葉はやはり欧米などに比べると、少ないのが現実だ。
但し、その分、”会釈”は非常に多いと感じる。
つまり、言葉でなくても「相通ずる」ことが日本は大切なのだ。
これは一説には、米国人は狩猟文化であり個人行動が基本だから、
たとえば初対面のときなどは「私はあなたの敵ではありませんよ」
という意味で、挨拶の言葉を頻繁に使ったり、握手をしたりするとい
う。
一方の日本人はというと、農耕文化のために、決まった集団で
動く習性があり、そんなところでいちいち言葉で会話するのではなく、
以心伝心で相手をさっすることで効率的な活動をしてきたからだという
説もある。
それらが真実かどうかは別にして、間違いなく、ホフステッドの
言語文化と非言語文化、個人主義と集団主義などの分析は的を得ている
だろう。
前置きが長くなったが、これらの「日本人は会話コミュニケーションが苦手」という説をあえて否定するならば、
私は、いつも関西弁の素晴らしさを例にあげる。
あれほど、コミュニケーションに長けた日本語はないと思うからだ。
無論、各地方の方言は、それぞれ特徴と良さがあるものだが、
ことコミュニケーションという観点からは関西弁は
群を抜いていると言わざるを得ない。
それええネクタイやなー
どこでこうたん?
なんぼやった?
まいどー
もうかってまっか?
ぼちぼちでんなー
あの人むっちゃかっこええなぁー
ほんま、かっこええなぁー
そやろー
これらのやりとりは、日本中だれもが知っている、
関西、特に大阪近辺の代表的なキャッチボールといえよう。
これらは、全て会話のキャッチボールの3点セットで構成されている。
これを標準語にしたところで、このようなリズミカルな3点セットには
ならない。
つまり、ここから、話が広がるように構成されているのだ。
さらに、言語文化の代表格である米国人の精神にも類似している点が
関西にはある。
たとえば、混在しているバスや電車などで、自分が降りようとするとき、
欧米人はかならず、普通の声の大きさで「Excuse me」と言って
人をかきわける。
関西もそうだ、「すんませんー」といいながら、必ず降りていく。
また、欧米人が「Thank you」という頻度と同じくらい、
関西では「ありがとぉ」「おおきにぃ」と言ってくれる。
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2010.03.20
2015.12.13
株式会社メンター・クラフト 代表取締役社長
http://www.mentor-craft.co.jp/ http://www.mba-noryoku.com/ 大学卒業後、大手エレクトロニクス商社に勤務。その後、IT業界、映像コンテンツ業界と15年間の営業・企画・マネージャー等の経験を経て、 2007年4月に(株)メンター・クラフト設立。 豪州ボンド大学大学院 MBA(経営学修士) エグゼクティブ・コーチ(JIPCC認定) 日本コーチ協会正会員