男尊女卑──。令和の時代になって化石ともいえるような言葉が、日本にはまだ現実として残っているようだ。 それを証明するランキングとして、男女の格差が、なんと世界で121位だということをご存じだろうか。世界で121位ということは、もちろん主要先進国では最下位になる。この数字は、男性側はもちろん、日ごろ男女差などあまり肌で感じていない人々にとってショックが大きいだろう。 しかしなぜ、こんな調査結果が出てしまったのか、そしてこの現実は日本の社会にどんな影響をもたらしているのか、ぜひ知りたいと思ったので調べてみた。
「女性活躍推進」をうたっている安倍政権だけど?
今政権は、発足当時から「女性活躍推進」をうたってきており、2018年には「男女共同参画の推進に関する法律」も施行されている。しかし、実際の政治の場では、ほとんど結果が出ていない。自民党の女性議員の割合は7%、女性閣僚も内閣改造のたびに1人か2人、申しわけ程度にしか就任していない。これでは、世界に置いていかれるのも当然だ。つまり、政治の分野では、日本は男女格差がもっとも大きい、遅れた国のひとつとなっているのだ。そしてそれが、ジェンダー・ギャップ指数総合121位という順位をもたらしていることになる。
日本の政治は男女格差の面で遅れている……。そう世界から指摘されているにもかかわらず、いっこうに改善されないのはなぜなのだろうか。
それは、これまで日本の政治を常に男性が司ってきたことによる弊害が大きい。世界的に人種・国籍・性・年齢を問わず、人材と働き方の多様化(多様性)を意味する「ダイバーシティー」が叫ばれ、それがスタンダードとなりつつあるなか、日本の政治を牛耳ってきた大方の男性政治家にその声は届いていない。
女性議員を増やすといっても、それを決めるのは男性政治家なので、自らの地位やポジションを覆すような決定はなかなかできないのが現実なのだろう。なかには、無理やり女性政治家を増やすことによって、有能な男性政治家の道を阻むことになる……などと、平然とのたまう政治家まで存在しているのも事実。こうした考え方や発言は驚きの発言であり、世界的に見て非常識かつ恥ずべき発言でもある。
政治の場で男女格差を減らす。その意味を考える
国民の半数は女性なのに、自らの生き方を男性にゆだねられている現状は異常でしかない。そして、男性の政治家にはその現状が理解できていない。実際のところ、女性の議員が増えれば、女性を差別する政策は徐々に改善され、むしろこれまで届かなかった声が新たに政策に反映されるのは間違いないだろう。たとえば、女性の職場での地位の向上、性暴力に対する厳しい監視の目、家庭内での女性の立場の向上、子育てを支援する体制・制度など。
これらは現実に向き合ってきた女性ならではの発想や視点が、ぜひとも必要なはずだ。
いま求められるのは、かたくなな男性の政治家や企業トップの意識改革であることは間違いないが、そしてもうひとつ、加えて同じくらい大切なことが「女性の意識の改革」だ。女性に選挙権が与えられたのは先の大戦後のことで、まだ70年そこそこの歴史しかない。これまでの日本の風土、文化を振り返れば、女性の意識のなかに政治は男性が行うもの、表立って立ち上がるものではない、という考えがまだ残っているのも事実。この考え方を“奥ゆかしい”と表現すれば聞こえはいいが、先頭に立つのはめんどう、事が起こったときに責任をとりたくない、などのネガティブな発想と根は同一のものだ。
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