ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんは、「受け取ったメダルはずっしりと重い」と発言した。その真意について記者団の質問に応じ、「サステナブル(持続可能な)社会、脱炭素社会を実現しなさいという一種の指示であり、重みがある。受賞者の立場から、環境問題について発信したい」と心境を語った。大阪府内で記者会見で、大阪・関西万博が催される2025年は「空回りしてきた環境問題への答えが出る時期」だと指摘。「電池技術を人口知能(AI)やIoT(身の回りのあらゆるモノがインターネットとつながる仕組み)などと融合すれば、環境問題に貢献できる」と訴えた。リチウムイオン電池の実用化に道を拓いた吉野彰さんだけに、その言葉は重く説得力がある。「無人電気自動車(AIEV)を携え、環境問題の解決に向けて旗振り役になっていきたい」という吉野彰さんの意気込みは、まさにSDGsのめざすゴールに合致するものといえる。
UN Photo/Laura Jarrielc
《私たちにできること》
地域のコミュニティーで、SDGsの達成に向けたアクションを働きかける団体への加入や、仲間でそのようなグループを結成する活動をしてみてください。積極的に関心を持ち、考え、行動を起こすことがパートナーシップを充実させ、地球の抱える複雑で難しい問題を解決していくことにつながるのです。SDGsの実現のためにできることやアイデアが浮かんだら、その輪を家族や友人、地域の人たちに広げ、一緒に行動しましょう。その一歩一歩こそがまぎれもなくSDGsを実現するパートナーシップとなっていくのです。
このままでは地球がもたない!
UN Photo/Mark Garten
7回にわたってSDGsを解説したシリーズも今回が最終回となります。本来ならSDGsによってもたらされる豊かな未来を見据えたいところですが、先ごろスペインで開催された国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)では、議論がまとまらず、地球温暖化防止の新たな枠組み「パリ協定」に黄信号がともりました。
11月4日、アメリカは「パリ協定」からの離脱を正式に国連に通告。世界で唯一、同協定に参加していない国となったのです。COP25では二酸化炭素など、温室効果ガスの排出削減量の上積みが参加各国に求められ、どんなに環境性能が優れた設備でも二酸化炭素を大量に排出せざるを得ない石炭火力発電の廃止が議論されました。
しかし、出席した小泉進次郎環境大臣は、石炭火力発電所の海外輸出削減など、日本に求められた脱石炭化や排出削減目標の強化に同意しませんでした。これはとても残念なことです。
──2030年の社会を支えるのは今の子どもたちです。将来の地球に生きる人たちすべてが豊かに幸せに暮らすため、これを読んでくださるみなさんから声を上げ、行動して、SDGsの達成をともにめざしていこうではありませんか。
≪記事作成ライター:山本義彦≫
東京在住。航空会社を定年退職後、介護福祉士の資格を取得。現在は社会福祉法人にて障がい者支援に携わる傍ら、30年に及ぶクラシック音楽の評論に加え、社会問題に関する執筆を行う。
【記事元】
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