ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんは、「受け取ったメダルはずっしりと重い」と発言した。その真意について記者団の質問に応じ、「サステナブル(持続可能な)社会、脱炭素社会を実現しなさいという一種の指示であり、重みがある。受賞者の立場から、環境問題について発信したい」と心境を語った。大阪府内で記者会見で、大阪・関西万博が催される2025年は「空回りしてきた環境問題への答えが出る時期」だと指摘。「電池技術を人口知能(AI)やIoT(身の回りのあらゆるモノがインターネットとつながる仕組み)などと融合すれば、環境問題に貢献できる」と訴えた。リチウムイオン電池の実用化に道を拓いた吉野彰さんだけに、その言葉は重く説得力がある。「無人電気自動車(AIEV)を携え、環境問題の解決に向けて旗振り役になっていきたい」という吉野彰さんの意気込みは、まさにSDGsのめざすゴールに合致するものといえる。
多くの人びとが争いや迫害、暴力で命を奪われ、家族を失い、住む場所を追われた人たちが暮らす難民キャンプには6850万人もの難民がいます。地球上からあらゆる争いごとをなくして平和を実現する必要があります。みんなが参加できる平和な社会こそが持続可能な開発を生むのです。
そのためには、法律などの公正な制度をだれもが利用でき、地域・国・世界といったあらゆるレベルで公正な司法制度を利用できる社会を築かなくてはなりません。腐敗が最も広がっている制度の中には、司法と警察も含まれています。有罪判決を受けていないにもかかわらず収監されている人たちの割合は受刑者全体の31%を占め、その割合は減ることがありません。
平和で包括的な社会を推進するためには、国際的な殺人、子どもに対する暴力、人身売買、性的暴力の脅威に取り組むことが重要です。こうした取り組みこそ、すべての人に公正な司法へのアクセスを提供し、公正かつ包括的な社会制度を構築するための基盤になるのです。
UN Photo/Stuart Price
《私たちにできること》
まずは世界の出来事に無関心にならず、テレビや新聞で「どんなことが起きているのか」を知ることが大切です。また、公正な社会を作っていくためには、だれもが政府の行いに強い関心を持ち、積極的に政治にかかわっていくことが必要です。貴重な選挙権は棄権することなく必ず行使して責任を果たし、自分の意見を政治に届けるようにしましょう。
また、地域社会やコミュニティーのなかで、暴力の現状と、平和で公正な社会の重要性に関する意識を高め、正義を実現する取り組みに積極的に参加することが求められます。
パートナーシップで目標を達成しよう
最後となる17番目の目標は、持続可能な開発のためのグローバルなパートナーシップを活性化し、必要な行動や方法を強化して目標を達成しよう、ということです。
グローバルなパートナーシップのためには、各国政府、市民社会、科学者、学会、民間セクター、企業、学校、家庭など、世界中のあらゆる人たちを含む私たち一人ひとりが結束を図り、SDGsの担い手になる必要があります。それは私たち全員に関係がある大切なことといえます。
これまでに述べてきた17の持続可能な開発目標(SDGs)は、先進国、途上国を問わず、すべての国に対して「誰も置き去りにしない」ための行動がなくては達成できません。
発展途上国は、資金や技術など、先進国からの積極的なサポートが必要です。先進国の協力により、2014年の政府開発援助(ODA)の総額は1352億ドルと過去最高水準を記録することができました。一方、アフリカのインターネット利用者は過去4年間でほぼ2倍に増えましたが、今なお世界で40億人以上がインターネットの利用ができておらず、その90%は発展途上国の人たちです。
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