ここ数年、サラリーマンの働き方は劇的に変化している。そのひとつが、副業に対する考え方だ。 かつては大手企業に限らず、中小企業の多くが従業員のアルバイト(副業)を禁止にしていたものだが、最近になってこれを認める企業が増え始めていることをご存じだろうか。驚くべきはあのメガバンクも行員に副業を認めるとしており、そうした動きからいまの時点でまったくの領域外にある教員や警察官といった公的職種にまで、いずれ副業が波及するのではないか……と一部ではいわれているのだ。 実際に、民間企業で働く従業員もそうした変化に即して、会社勤めと平行して平日の退勤後や休日に他の場所で働く時間をつくり、副業に勤しむサラリーマンやOLが増え続けている。会社そして、日本社会の中でいったい何が起きているのか、今回はその実態を探ってみた。
副業が抱えるリスクとは?
ただし、副業解禁は企業にとって一定のリスクを抱えることにもなる。以下に掲げたのは、主なリスクの要因だ。
【理由1】社員の労働管理が難しくなる
前述したように、当局による企業の労務管理指導はとても厳しくなっている。残業時間の削減や有給休暇消化の義務など、従業員の働き方を企業はしっかり管理する義務を負っているが、社員の副業についてまで、労働管理をおよぼすのは現実問題として難しい。
【理由2】事故や不祥事などのリスク
事故が起こったときの労災の保障や、会社に損害を与えたときの保障などが、法的にみてもまだまだ不備な点が多く、責任所在が不明確でリスクが大きい点は否めない。
【理由3】情報漏洩のリスク
社員が他社でアルバイトなどすれば、自社の機密情報が漏洩する可能性がある。たとえ異業種での副業であったとしても、その情報が有用であれば、どんな形で利用、悪用されるかわからないというリスクがある。
【理由4】人材流出のリスク
副業として、あくまでアルバイトとして働いていたはずなのに、やがてその仕事にやりがいを感じたり、あるいは好条件を示されて、もとの会社を退社することも十分想定可能だ。そのリスクをもあらかじめ会社は負わなければならない。
つまり副業解禁は、以上のようなリスクを抱えたうえでの企業側の英断となるわけだ。
働く会社員側にとっての、メリットとデメリット
では、働く側の従業員(社員)側にとって、副業の解禁はどんな変化をもたらすのだろうか。
【収入のアップ】
まず、もっともわかりやすいメリットは、収入のアップだ。残業が厳しく規制されているいま、夕方の終業時間はどんどん早くなっており、それだけ残業代も減って収入も減ることになる。副業はその分をカバーできるメリットがある。
【キャリアアップにつながる】
また、ひとつの会社に閉じこもるような勤務状態と比べ、違った環境に身を置くことによって、新しい出会いや分野の異なる事業を目の当たりにすることで、自ずと自身のキャリアアップにつながる可能性もある。
【生活への不安を解消】
さらに、いま勤めている会社の業績が不安定に陥ったときなどに二足の草鞋を履いていれば、その後の生活への不安を解消させてくれることもありえる。それらが従業員にとってのメリットだ。
その一方で、働く側のデメリットも見逃せない。
【過重労働による体調管理の難しさ】
もっとも大きなリスクは、過重労働による体調管理の難しさだ。せっかく官民あげてサラリーマンの働き方を改革し、過労死などを防ぐ努力をしているさなかであるのに、会社員が自らの判断で平日の夜や土日も働き、体調を崩すだけでなく、心労を重ねてはなんにもならない。
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