今年(2019年)の注目アイテム・ブランドとして、第23回小学館DIM(ダイム)トレンド大賞や、日経トレンディ2019ヒット商品のナンバーワンに選ばれた作業服販売最大手の「ワークマン」。 同社は2018年9月から、プロ用作業服の高機能性を打ち出した、一般ユーザー向けのプライベートブランド(PB)商品を扱う新型店「ワークマンプラス」を展開。これが女性や若者に受けて大ヒットし、同ブランドの作業服をオシャレに着こなす「ワークマン女子」なる流行語も登場。予想を超える爆発的な売れ行きを受けて、同社はワークマンプラスの出店計画を大幅に上方修正し、既存店の改装や新規出店を急ピッチで進めている。 建設業などのプロ向けだったヘビーデューティ系ブランドが、女性や若者から熱い支持を集める理由とは何なのか……。いま、飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を続ける、ワークマン大躍進の背景と人気の秘密に迫る。
なかでも、子育て世代の女性から絶大な支持を集め、ワークマン女子ブームに火を付けた商品が、水や油に強い厨房用スニーカー「コックシューズ(税込み1900円)」だ。グリップ力の高い靴底を採用したスリッポンタイプで、雨の日や濡れた坂道でも滑りにくく、脱ぎ履きもラクラク。普段着に合わせやすいシンプルなデザインも好評で、マタニティ&ママシューズとして一気にブレイクし、これまでに30万足以上を売り上げる大ヒット商品となった。
また、男女ともに人気を集めている「全天候型 透湿レインスーツSTRETCH」は、ジャケット&パンツ上下のセットで税込み4900円。土砂降りの豪雨・強風にも耐える防水性と、ムレを抑える透湿性・伸縮性を兼ね備え、アウトドアのイベントやスポーツ観戦、釣りやゴルフ、雨天時の自転車通勤やウォーキングなど、幅広いシーンで利用できるという。
その他、火の粉が飛んでも焦げにくい「耐火ヤッケ(税込み1954円)」が、キャンプやバーベキューの“たき火ウェア”としてSNSで話題になるなど、日常使いやレジャーに役立つ「頼れる機能性」が、一般ユーザーを引き付ける最大のポイントとなっているようだ。
機能性をリアルに発信する「過酷ファッションショー」
そうした中、今年9月にJR新宿駅直結ので開催された、2019年のワークマン秋冬商品展示会は、「過酷ファッションショー」と題した前代未聞のサプライズ演出で来場者の度肝を抜いた。
ランウェイの周囲には降水・降雪機や送風機が設置され、まさに“過酷”な荒天時の環境をリアルに再現。ワークマンの商品をまとったモデルが大雨や暴風、雪の中を颯爽(さっそう)と歩き、防水・防寒服の機能性をスタイリッシュにアピールした。
過酷ファッションショーを企画した理由について、ワークマンの小浜英之社長は「商品の機能性を伝えるため、今までにない発信をしたいと考えた」と語り、今後は、SNSなどで影響力を持つインフルエンサーと共同企画した商品のショーも開く予定という。
Family running in the rain illustration
──こうして、わずか1年で「作業服からポストユニクロ」へ鮮やかに転身し、追随不能なアパレル業界の空白市場で独り勝ちを続けるワークマン。同社は今年度の秋冬PB商品の生産計画を昨シーズンの2.7倍(300億円)に引き上げ、ワークマンプラスの出店強化で売り切ると意気込む。
今後、高機能な作業服を街で着るトレンドが、どこまで浸透・拡大するのかは未知数だが、同社ならではの斬新な提案とサプライズのプロモーションで、「ワークウーマン市場」なる新ジャンルのマーケットが登場するかもしれない……!?
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