今年(2019年)の注目アイテム・ブランドとして、第23回小学館DIM(ダイム)トレンド大賞や、日経トレンディ2019ヒット商品のナンバーワンに選ばれた作業服販売最大手の「ワークマン」。 同社は2018年9月から、プロ用作業服の高機能性を打ち出した、一般ユーザー向けのプライベートブランド(PB)商品を扱う新型店「ワークマンプラス」を展開。これが女性や若者に受けて大ヒットし、同ブランドの作業服をオシャレに着こなす「ワークマン女子」なる流行語も登場。予想を超える爆発的な売れ行きを受けて、同社はワークマンプラスの出店計画を大幅に上方修正し、既存店の改装や新規出店を急ピッチで進めている。 建設業などのプロ向けだったヘビーデューティ系ブランドが、女性や若者から熱い支持を集める理由とは何なのか……。いま、飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を続ける、ワークマン大躍進の背景と人気の秘密に迫る。
これを受け、同社ではワークマンプラスの出店計画をさらに加速させ、2020年3月末までに店舗数を167店に増やすと発表。また、全国に800店以上展開するワークマン既存店の店内を改装して、プロ向け商品と一般向け商品の売り場を分離した店舗も首都圏を中心に90店増やし、順次ワークマンプラス店としてリニューアルオープンしていく予定だ。
プロ仕様の高機能商品を激安販売できる理由
ワークマン&ワークマンプラスの最大の魅力は、ずばり「プロ仕様の高機能商品が、激安価格で手に入ること」。ここ最近は、一般のアパレルブランドでも「クール&ウォーム」をうたった機能性インナーやパンツなどを扱っているが、同社商品の機能性・コストパフォーマンスの高さは群を抜く。そもそも建築現場といったハードな環境下での使用を想定しているため、それに耐えるタフな機能性と丈夫さはもちろん、デイリーな作業着としての手ごろ感も求められるからだ。
では、なぜ同社の商品は「高機能なのに安い」のだろうか。
売れ筋が流行に左右される一般的なアパレルブランドの場合、シーズンごとに商品を入れ替える必要があるため、工場に発注する量は多くても年間1万着程度とされている。これに対して、機能性が売りとなる同社の商品は、シーズンごとの流行に左右されにくく、3~4年といった長いスパンで一商品を定価販売できる。
そのため、年間100万着単位での大量発注が可能となり、その分だけ一着あたりの生産コストを抑えることができるのだ。
さらに、安く生産する秘密は「工場への発注時期」にもある。ワークマンの商品を生産している中国の縫製工場は、冬物を生産する5~8月と、夏物を生産する11~2月が繁忙期となる。同社はこの繁忙期を避け、すき間の閑散期を狙って大量発注。手が空く閑散期は工場側も仕事が欲しいため、通常より1割以上安く(しかも、より高品質にこだわって)受注してくれるという。
このように、作業服の安定需要という強みを最大限に生かし、発注方法を工夫することで「高機能×低価格」の両立を実現させているのだ。
女性や一般ユーザーを引き付ける「頼れる機能性」
また、ワークマンプラスで扱う商品は、街で着られるような男女兼用のデザイン・カラーや、SS・Sといった小さいサイズが充実しているのも特徴だ。プロ向けの既存店と同じ商品を扱いながらも、一般客を想定した商品展開の工夫で、これまで見向きもしなかった女性客の取り込みにも成功している。
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