2019年9月、国連の気候行動サミットにひとりのスウェーデンの少女が出席しました。地球温暖化に本気で取り組まない大人たちに向かって、「あなたたちを許さない」と涙を浮かべながら、怒りのスピーチをしたことを覚えているでしょうか。 16歳のグレタ・トゥーンベリさんの発言は、状況を理解しながらも必要な行動を起こさない各国のリーダーたちの裏切りに対する叱責であり、将来、温暖化の結果に向き合って生きなければならない若い世代を代表した切なる訴えといえます。 SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に必要とされる解決策を実現するためには、世界を変えたいと願う若者の発言を心に留め、私たち一人ひとりが行動を起こすことが必要なのです。 そんなSDGsについて、今回は目標12から14までをご紹介しましょう。
地球の将来を危うくする気候変動に、待ったなしの具体的な対策が必要なことはいうまでもありません。経済発展とともに増えたCO2の排出量を減らし、温暖化にストップをかけるために2015年のCOP21で世界の国々が力を合わせて、温暖化対策に取り組むことを約束したのが「パリ協定」です。
具体的には、地球の平均気温上昇を産業革命以前に比べて、摂氏2度以内に抑えることを目標とし、2020年から適用が始まる枠組みです。
2019年9月の国連気候変動サミットに合わせてロシアが加わり、批准国は187となりました。しかし、石炭火力発電所の建設を進めるアメリカ合衆国のトランプ大統領は、2017年に離脱を表明。これによって、温室効果ガス排出の削減にブレーキがかかる危機にあります。対策が遅れ、地球の温暖化が進むと、動物や植物にも深刻な影響を被ることになります。
例えば、北極圏の氷が溶けると、白熊たちは住む場所がなくなり、絶滅の危機に瀕することを忘れてはなりません。
UN Photo/Eskinder Debebe
《私たちにできること》
まず、日々の暮らしのなかでできるだけCO2を出さないように心がけましょう。必要のないときは無駄な電気を使わないことが基本です。物があふれている現代社会だからこそ、一人ひとりが大量消費をやめて「もったいない」の気持ちを持ち、リユースやリサイクルを心がけたいものです。
次にみんなで声をあげましょう。若い人たちを中心に世界各地で開かれている地球変動への対策を求める抗議集会への参加などで、パリ協定の推進をアピールすることができます。ソーシャルネットワークで気候変動に関する興味深い投稿があったら、「いいね」をクリックするだけでなく、友達にシェアするのも私たちにできる立派な行動です。
海の豊かさを守ろう
地球の面積の約71.1%を占める海。地球上の生命は約40億年前に原始の海で誕生しました。それ以来、海は「生命のみなもと」として、驚くほど多彩な生物を育む母体の機能を果たしてきています。その海がいま、深刻な問題を抱えています。ひとつは、私たちが出すゴミや排水で海が汚れてしまっていること。もうひとつは、魚などの獲り過ぎで多くの海洋生物に絶滅の恐れがあることです。
TVや新聞では、海岸や河口にたくさんのゴミがたまっている様子が報道されています。海はゴミ捨て場ではないのに、海に漂うゴミの量が増えていることが、環境と経済に大きな影響をおよぼしているのです。海に流れ着いたプラスチックゴミは、あと30年ほどで海に住む魚の量を超えるだろう……と予測されています。海の生態系を根底から崩すゴミや排水を減らし、豊かな海を守らなくてはなりません。
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