赤字団体が続出!制度の“ゆがみ”で自治体格差が拡大する「ふるさと納税」

2019.12.13

ライフ・ソーシャル

赤字団体が続出!制度の“ゆがみ”で自治体格差が拡大する「ふるさと納税」

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地方自治体への寄付金制度として2008年に導入され、いまや全国で300万人以上が利用する「ふるさと納税」。その2018年度実績が総務省から発表され、自治体間の格差問題があらためて浮き彫りとなった。

このように、ふるさと納税は高所得者ほど節税メリットが大きくなるため、富裕層が多い(かつ魅力的な地産品が少ない)都市部の自治体ほど、居住地以外に寄付したい住民が多くなり、本来納められるはずだった税金が減ってしまうのだ。

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地方交付税の交付団体であるか否かで明暗が分かれる

今回発表された総務省の2018年度実績調査によると、都道府県で赤字額(控除額)が最大となったのは東京都(347億円)で、2位が大阪府(21億円)、3位が神奈川県(20億円)。
市区町村では横浜市が136億円で最も多く、2位以下は名古屋市、大阪市、川崎市、世田谷区など、高所得者が多い都市部ほど赤字額がふくらんでいる(図表参照/2018年度ふるさと納税 市町村民税控除額ランキング)。

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ただし、トップ3の横浜市・名古屋市・大阪市や、6位以下の神戸市・さいたま市・福岡市・京都市は、地方交付税によって控除額の75%が補てんされるため、実際の赤字額はこの4分の1に減少。それを差し引くと、ランキングは不交付団体の川崎市が1位、世田谷区が2位、港区が3位となり、地方交付税の交付団体であるか否かで大きく明暗が分かれた。

不交付団体の川崎市・東京都23区で財政難が深刻化

この地方交付税とは、地方法人税の全額と国税の一定割合を国が地方に再配分するもので、地方公共団体間の財源の不均衡を調整することを目的としている。したがって、財政が比較的安定していると見なされる自治体は不交付団体となり、国からの再配分を受けることはできない。
しかし、地方交付税の算定に用いられる「基準財政需要額」と「基準財政収入額」は、全国の自治体の収入支出を統一的に測定するための数値にすぎず、多様な施策を展開する各自治体のリアルな財政状況を反映していないとする意見も多い。

事実、不交付団体の川崎市や東京23区では、ふるさと納税の税収減による財政難が深刻化しており、このままでは行政運営や行政サービス、地域インフラの整備などに支障が出かねないと危機感を募らせている。
こうした状況を受け、川崎市の福田紀彦市長は「行政サービスへの影響が深刻なため、不交付団体にも財政措置を講ずること」「高所得者ほど節税効果が生じるので、特例控除額に定額の上限を設けること」などを総務省に要請。世田谷区や杉並区も2017年から、区民に向けたパンフレットなどで「ふるさと納税で区の住民税が流失している」と訴えているが、依然として状況は変わっておらず、国も要請に応じる姿勢を見せていない。

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