量販店に続々普及。競争激化を促すダイナミックプライシング!

2019.11.22

ライフ・ソーシャル

量販店に続々普及。競争激化を促すダイナミックプライシング!

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南青山リーダーズ株式会社

年末年始やお盆休み期間になると、ホテルや飛行機、旅行などの価格は、平常価格よりぐんと高くなり、一方の閑散期は平常価格よりお得な設定になる。 このように、供給量や期日が決まっているサービス業などでは、商品の中味は同じであっても、需要と供給バランスに応じて価格を変動させることがある。 この仕組みをダイナミックプライシングというが、昨今ではダイナミックプライシングのあり方が大きく変わり、サービス業に限らず、日用品などの一般消費財を取り扱う量販店などでも普及しはじめていることをご存じだろうか。 最新のダイナミックプライシングのカギは、AIを駆使した電子タグの導入ということだが、いったいサービス業の現場でいま何が起こっているのか。私たち消費者にどのような影響がおよぶのかを探ってみた。

しかし、いいことばかりではなく、落とし穴があることも忘れてはならない。ダイナミックプライシングのベースは、原価に基づく商品価値ではなく、需給のバランスによる価格設定だ。たとえば、ある商品がSNSで人気を集めて買い手が殺到している状況であれば、その商品を扱うどの店も価格を下げる理由はなくなる。あるいは、他店やネットで高額で売れている使用であれば、同じ価格で自社も売れると判断できることになる。
つまりこうしたケースでは、業界全体で高止まりし、無言のカルテルのようなものが生まれる可能性があることになり、結果として消費者は、年始年末の高いホテル料金をずっとつかまされる恐れが生じることになる。

思わぬ得……、知らずに損……ということも

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また、電子タグは瞬時に価格の設定を変えられるので、店頭でさまざまな操作が可能になる。一例として、スーパーでは夕方になると弁当や総菜などが安くなるが、その割引表示が瞬時にできることで、手作業で価格表示の貼り替え作業に追われてきた従業員の負担は軽減されることになる。

しかし、ここでもう一歩踏み込んだ価格調整も、簡単にできてしまう点に着目してみよう。
たとえば、牛乳の売れ行きがよい日に在庫数と照らし合わせたところ、まもなく売り切れになる可能性が出てきた。一方でヨーグルトの売れ行きが芳しくなく、相当数の在庫が残っている。
こうしたことが起こった際、電子タグを使って牛乳の店頭価格をさりげなく上げることで欠品状態を防ぐ策をとり、一方のヨーグルトの店頭価格を下げて、在庫をできるだけはけるようにするといった調整も瞬時にできるのだ。

このように、店舗側の思惑によって、消費者が思わぬ得をしたり、知らずに損をしたりするという場面に出くわすことも容易に想定できることになる。ここでわかりやすい例を出して説明したが、1時間前と1時間後で商品価格を自由に変動させる仕組みが、量販店に普及し始めたダイナミックプライシングなのだ。

ダイナミックプライシングについての“いま”と、売り手、買い手側の思惑の違いを説明してきたが、今後、報道などで大きく取り上げられている家電量販店はあくまで一部に過ぎず、あらゆる流通業界に普及していくことは確かだろう。

──私たち消費者にとってメリットも大きい反面、デメリットもあるダイナミックプライシングは、ネット時代の宿命といえるだろう。むしろこれからの時代は、価格に振りまわされることなく、本当の意味で商品価値を見極める選択眼が必要になるのかもしれない。

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