日本大会組織委員会は、大会が始まる前にその経済波及効果を4372億円になると予測していましたが、実際には日本代表の大活躍で、さらに上振れするに違いありません。とはいえ、TV観戦に熱が入り、家庭でのビールの消費は増えたものの、私たちの日常生活のなかでこの数字がいまひとつ、ピンとこないのも実感ではないでしょうか。 そこで、全国民を熱狂と感動の渦に巻き込んだ日本大会にまつわるお金の話をさまざまな角度から検証してみましょう。
結果としては、日本戦のチケットや最高額10万円の決勝戦などのチケットが軒並み完売となり、絶好調のチケット販売によってそれなりにおさまった、というのが実態に近いのではないでしょうか。
なお、2020年に東京で開かれるスポーツの祭典における世紀の祭典の予算を見てみるとその額は1兆3500億円。全体支出はなんと3兆円に達するとも報じられています。
日本代表に支払われる報奨金はいくら?
ベスト8という快挙を成し遂げた日本代表。私たちに夢と希望を見せてくれた大活躍の選手たちには高額の報奨金を支払うべきだ、と思われている方も多いかもしれません。
日本ラグビー協会は今回の大会が開幕する前の理事会で、日本代表の選手とスタッフ約50人に対し、報奨金を設定しています。
- 優勝した場合は、ひとりにつき500万円
- 4強入りでは、ひとりにつき300万円
- 8強入りでは、ひとりにつき100万円
今回はベスト8になりましたので、報奨金は100万円ということになります。身体を張ったあのプレーに対しこの報奨額が見合うかどうかは、考え方次第でしょう。ちなみに、日本代表選手の日当は約1万円で、イングランド選手の約300分の1という水準。この格差が、今後の大きな課題となることは間違いないでしょう。
ところで、このラグビー大会には、優勝賞金がないことをご存じでしょうか。
優勝チームが得られるのは優勝カップと選手たちに授与される純金製のメダルのみ。これぞ、まさに栄誉を懸けて争う命がけの試合であり、勝っても負けても、試合が終われば両者の戦いを褒め称えあう「紳士のスポーツ」ならではの特徴といえるでしょう。
ラグビー選手の年俸は?
日本のラグビーにはまだプロチームはなく、社会人チームの強豪が集まるジャパンラグビートップリーグがリーグ戦で競い、プレーオフでラグビー日本選手権を争っています。助っ人である外国人選手はプロ契約ですが、日本人選手の多くは、所属企業の社員選手で構成されています。
日本におけるラグビー選手の年俸は公表されていませんが、目を世界に転じると、2018年当時ワラターズ(オーストラリア)のフルバックだったイズラエル・フォラウの約1億6000万円がラグビー選手の第1位となっています。これは一般人の私たちから見れば破格の年俸ですが、世界の一流選手で“1億円強”という数字は、他のプロスポーツと比べると10分の1以下という低水準にすぎません。
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