ここ近年、金融とテクノロジーを掛け合わせたフィンテックなど、「◎◎テック」と冠した多様なサービスが次々と登場している。 そのひとつとして、いま国内外の企業から注目されているのが、人事関連の業務を担う「HRテック」と呼ばれるサービス分野だ。 社会的に浸透したフィンテックと比べると、日本での認知度はまだまだ低いが、アメリカを中心とした海外市場の拡大にともなって、ここ1~2年の間に日本企業でも導入する動きが活発化。これを受けて、さまざまなHRテックサービスを開発・提供するスタートアップやIT企業も急増している。 そこで今回は前編と後編に分けて、アメリカや日本のHRテック事情にフォーカス。HRテックのサービス事例や導入メリット、普及の背景や今後の課題について詳しく見ていくことにしよう。
【記事元】
日本クラウド証券株式会社 https://crowdbank.jp
日本クラウド証券メディア マネセツ https://manesetsu.jp
クラウド・AI・ビッグデータ解析などの先端技術を活用
冒頭で触れた「フィンテック(ファイナンス×テクノロジー)」をはじめ、教育関連サービスの「エドテック(エデュケーション×テクノロジー)」、女性に向けたウェルネスサービス「フェムテック(フィメール×テクノロジー)」など、さまざまな分野で急速に広まりつつある「テック」サービス。
既存の産業領域と先端テクノロジーを融合させることで、私たちのライフスタイルやビジネスシーンに新たな価値をもたらそうとしている。
同じく、企業の人事領域にテクノロジーを活用したサービスが「HRテック」だ。
HRテックとは、ヒューマンリソース(Human Resource)とテクノロジーを掛け合わせた造語で、クラウドやAI(人工知能)、ビッグデータの解析といった先端技術を駆使して、煩雑な人事・労務業務の効率化・最適化を図るサービス全般を指す。
カバーする領域は、給与や保険といった労務処理の効率化・業務改善など多岐にわたるが、とくに注目されているのが、人事領域における人材活用を担うタレントマネジメントシステムだ。従業員情報の一元管理と分析によって、企業で抱える人材がどのようなスキル・能力を持っているのかを公正に評価。
そのパフォーマンスを最大限に発揮させるための戦略的な人材配置・教育までも、テクノロジーでカバーできるサービスが生まれているのだ。
HRテックの世界市場をリードするアメリカの巨大企業
HR(ヒューマンリソース)領域におけるテクノロジー先進国といえば、やはりアメリカである。約140億ドル(2018年)とされる世界のHRテック市場で、アメリカは62%のシェアを占め(日本のシェアは2%)、世界市場の拡大とともにさらなる進展の機運を見せている。
現在、シリコンバレーだけでもHRテックの開発を手がける企業は120社以上。2018年で21回目となった世界最大級のHRテックイベント「HR Technology Conference&Expo(ラスベガス開催)」には、400社以上のHRテック関連企業が出展し、国内外からの来場者で連日大盛況だったという。
その市場を開拓・リードしてきたのが、HRテック界のパイオニア的企業である米・Workday(ワークデイ)だ。「グローバル人事管理をクラウドで」というスローガンを掲げ、2005年にスタートした同社のサービスは、アメリカ国内でまたたく間に普及。
現在は、従業員数約1万人・時価総額2兆円を超える、HR業界最大手のグローバル企業に成長している。
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2015.07.17
2009.10.31