先ごろの台風15号は進路の東側にあたった千葉県に大きな被害をもたらしました。関東圏にこれほど強い台風(955ヘクトパスカル)が上陸したのは観測史上初めてのこと。わが国周辺の海水温は過去100年で約1℃上昇しており、この暖かい海が台風にエネルギーを与えて強い勢力を保ったまま関東に接近したと見られ、専門家は温暖化の影響を指摘しています。 「気候変動への対策」はSDGsでも目標13に掲げられており、2019年9月には国連気候行動サミットが開かれるなど、重要な開発目標のひとつです。私たちの周りで起こるこうした問題はいま山積みとなって地球の未来を脅かしているのです。 SDGsでは世界共通の持続可能な17の開発目標を定め、地球の問題を解決していこうとしています。前回に引き続き、今回は「目標9」からひとつずつ解説していきましょう。
住み続けられるまちづくりを
2018年現在、世界人口の55%が都市で暮らし、2050年にはこれが68%まで上昇すると予想されています。実に世界の人びとの3分の2が都市で暮らすようになるわけです。この目標では、大勢の人が安全で住みやすい家や必要なサービスを得られ、快適に住み続けられるまちづくりを目指します。
都市への人口集中は解決しなければならない多くの課題を生みます。住宅の不足、生活廃棄物の増大、老朽化した建物による損壊の危険、排気ガスによる大気汚染、交通渋滞など、適切に対策が行われなければ都市の抱える問題は増大の一途をたどるでしょう。
高層ビルが林立する近代都市。その多くには「スラム」が存在し、次々と流入する貧しい人びとが住み着いています。スラムの住人は8億3300万人を超えると言われています。疫病や犯罪を生みやすい劣悪な環境を改善する抜本的な都市開発が求められます。
わが国に目を移すと、2017年の「世界で最も住みやすい都市ベスト25」では、東京が3年連続第1位になりました。犯罪の発生率が低く、衛生環境が整い、雇用条件に恵まれたことなどが評価されたようです。しかし、このまま人口の流入が続けば、東京でも都市計画が行き詰まる可能性があります。一方、地方の過疎化は深刻で、限界集落(住民の半数以上が65歳)が増え続けていることも見過ごすわけにはいきません。
24 January 2018. Monrovia: Aerial view of the slums in West Point in Monrovia, Liberia, taken from a helicopter operated by the Ukrainian Armed Forces deployed in UNMIL.
UNMIL Aviation withdrawal process has begun and today was the last UN helicopter flight in Liberia. Helicopters were operated by the Ukrainian Aviation Unit. UNMIL mandate expires on 30 March 2018.
Photo by Albert Gonzalez Farran – UNMIL
《私たちにできること》
都市部における生活廃棄物の増大は深刻な問題です。まず、日々の生活のなかでゴミを減らすことから始めてはいかがでしょう。ハンバーガーショップで紙ナプキンを必要以上に取り過ぎない。買い物にはマイバッグを持っていきポリ袋を使用しない。食べ残しが出ないように食べられる分だけ購入し、残ったものは早めに冷凍する。印刷はできるだけしないで紙ごみを削減する……等々。私たちにできることはたくさんありそうです。
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